ノゾキアナの恐怖 誰
仲仁へび(旧:離久)
第1話
仕事から帰った私は、五階建てのアパートを上がっていく。
疲れた体を引きずりながら自分の部屋である、4階の403号室へ。
部屋を開けたら、少しだけ疲労がふきとんだ。
だってこれから、楽しみが待っているから。
私が住んでいるアパートには、イケメンが住んでいる。
しかも私に部屋の隣404号室に。
目の保養がほしかった私は、ついやってしまった。
ノゾキアナを作ってしまったのだ。
壁に。
だって、職場では枯れ木みたいなおじーさん達のお世話ばっかり。
ストレスがたまっていたのだ。
仕事が忙しくて、出会いを作れなかったのも、嫌だった。
だからDIYするという名目で買った電動ドリルで、小さな穴をあけた。
作った穴でのぞいてみると、良心が痛んだけれど、すぐに吹き飛んだ。
イケメンが、カッコイイ。
私はすぐにイケメン観察に夢中になった。
「外見がいいってやっぱり得ね。何をしてても、絵になるんだから」
ソファーにすわっていても、立って料理をしていても、かっこよく見えた。
私の毎日は、潤いを取り戻していった。
これからも毎日続けよう。
そんなある日、回覧板をまわすために、隣の部屋のドアを叩いた。
イケメンが住んでいる方とは反対側の部屋、402号室だ。
「すみませーん、回覧板でーす!」
声をかけてチャイムを鳴らすとすぐに住人が出てきた。
「ありがとうございます」
「あれっ?」
その顔を見て私は首をかしげる。
その人物が、見慣れていたイケメンだったからだ。
「別の部屋に、404号室に住んでたんじゃ?」
「ああ、数日前まではそうでしたけど。上の部屋からの騒音がひどくて、部屋をかえたんです」
「そっ、そうだったんですか」
私は真っ青になって、すぐに自分の部屋に戻り、壁の穴をふさいだ。
私が見ていた人物はいったい誰だったのだろう。
ノゾキアナの恐怖 誰 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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