第56話 試合の後の極楽タイム?
テニスの試合の後、帰宅した俺は、ソファに横たわり、りんごと体を密着させ、
至福の時間を過ごしていた。
「んしょっ…!んんっ…!」
「りんご、もうちょっと左。」
「左…。ふうっ…!ふんぬっ…!」
「あーそこそこ、苦しゅうないぞ?あと、りんごのはちみつ漬けはもうないのか?」
「ああ、冷蔵庫にまだ残りがありますよ。ちょっと待ってて下さい。ふうっ。全く猫使いが荒いなぁ…!ドタドタ…。はい、どうぞ!」
りんごは肩のマッサージをさせられている合間に注文を受け、文句を言いながらも、冷蔵庫から取ってきたりんごのはちみつ漬けにフォークを添えて俺に渡してくれた。
「さんきゅ。シャク…。りんご、右肩も頼む。」
「はいはい。分かりましたよ。ふむっ…!しょっ…!」
「なかなかいいぞ?」
はちみつ漬けのりんごを頬張る俺を軽く睨み、りんごはかけ声を上げながらもまた俺の肩のマッサージを再開した。
「くぅっ…。もう、バリ肩過ぎて、手が痛くなって来ました。あと、3分で終わりにしていいですか?」
「りんご。バリカタの言葉の使い方間違ってる。宇多川には、文句を言わずにマッサージをしていたじゃないか。なんで差別するんだ?」
「夢ちゃんのワガママは滅多にないので許してあげたくなっちゃうんです!浩史郎先輩はいつもじゃないですか!」
試合の後、りんごがベンチで休む宇多川の腕や背中やらをずっとマッサージしていたのを見ていた俺は不服に思いそう言うと、りんごが呆れたように言い返して来た。
「チッ。今日は俺、かなりテニス部に貢献したと思うのに、りんごは労ってくれないのかよ。飼い猫のくせに冷たいなぁ…。」
「いや、まぁ、今日の浩史郎先輩は確かにすごかったですよ?
浩史郎先輩と夢ちゃんの活躍で、最初はあまりヤル気のなかったテニス部の部員さん達も、段々目の色が変わって来ましたもんね…。
団体戦は負けてしまったけど、部員さんの士気は高められたんじゃないですかね?」
「ああ…。ただ、あの暑苦しい部長に俺達気に入られて、結局まだ辞められず、夏の合宿まで参加する事になってしまったな…。」
試合さえ出ればいいと言われていたのに、面倒臭い事になったと俺は額に手を当てた。
この夏休みはりんごと距離を詰めたいと思っていたのに、風紀委員の査察はあるは、そのせいで夏休み前半はシェアハウスの改装工事で一時期同居解消になるは、テニス部の練習、合宿はあるはで、なかなか二人きりの時間をとれそうにない。
「んしょ、んしょ。でも、私は浩史郎先輩と夢ちゃんともう少し長くテニスが出来て嬉しいですけどね。ユニホームも可愛いし、合宿も楽しみだし。」
「…。まぁな…。」
結構、ここのテニス部のユニホームりんご、似合ってたんだよな…。
あと、合宿中いつもと違う雰囲気の中でりんごといい雰囲気になったりするかもしれないしな…。
風呂上がりとか、二人でちょっと抜けちゃったりとか…?
俺は邪な妄想を膨らませていると、マッサージにへばっている様子のりんごは上目遣いで俺をジロリと見て来た。
「ふうふうっ…。合宿では、飼い主と猫ではなく同じ部員同士ですからね?こき使うのはやめて下さいよ?」
*あとがき*
いつも読んで頂き、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます
m(_ _)m
今後ともどうかよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます