第47話 思わぬ再会

「はあっ!」

バシィッ!


フワリ…♡


「くっ…!///(ワンポイントのりんご柄…!)あ、しまっ…!」

パァンッ!…ポスッ。


「それっ!」

スパァンッ!


パラリ…♡

「おおっ…!////(更にその上にはは小さな赤いリボンが…!)うを、やっちまった!」

キイン!


りんごが攻撃をする度にスカートが舞い上がり、動揺する俺はボールをネットに引っかけてしまったり、ボールをラケットの端に当ててしまったりと、通常ならあり得ないミスを連発してしまった。


だが、スコアの犠牲の下、りんごのパンツが、白地に小さい赤いリボンとワンポイントのりんごがあしらわれた可愛らしいデザインのものだという事はよく分かった。


「やったぁ!!1セットとったぁ!!」


「くっ…!ずるいぞ、りんご?」


ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいるりんごに文句を言ってやると、りんごは顔をしかめて抗議して来た。


「はぁっ?どこがずるいんですか!自分が負けそうになったからって、言いがかりをつけるのはやめて下さい!」


「いや、だって、君…!いくら勝ちたいからってそんな方法で…」



「おっ。コートあそこじゃね?」

「俺、こう見えて結構テニスうまいんだぜ〜?」

「ホントかよ?お前、球技大会のバドミントンボロ負けだったくせに。」


!!


俺達が言い合いをしている内に、向こうから数人の男子中学生らしき団体がやって来るのを見て、俺は焦りを覚えた。


このまま、りんごの捨て身のテニスを続けさせていては、他の男子にもりんごのスカートの中身が丸見えになってしまう。それは絶対に嫌だった。


りんごを説得しなければ…!


「分かったよ、りんご!今日は俺が夕飯作るから!なんなら奢るから!!そのパンツ丸見せ戦法だけはやめてくれっ!!」


「え、ええっ??な、何言ってるんですか!浩史郎先輩!私、ちゃんとインナーパンツ穿いてますよ!//」


必死に頼み込むも、頑なに言い張るりんごに俺はやれやれと首を振った。


「そんな、リボンとワンポイントのりんご柄のついたヒラヒラのインナーパンツがあるわけないだろう!負けず嫌いも、程々にしろよ、りんご。」


「えっ!||||」


パンツの柄まで言い当てられて言い逃れできなくなったりんごは青褪めると、こそこそと、コートの隅に行き、俺に背を向け、何かを確かめると…。


「ふぎゃはぁんっっ!!」


何やら奇声を上げ、その場に崩れ落ちた。


ん…?もしかして、穿いてない自覚がなかったのか?


「うわ〜ん!本当だっ。インナーパンツ穿き忘れてたぁっ!!

何でもっと早く教えてくれないんですかぁっ!///」


そして、真っ赤な顔で拳を振り回して、俺に詰め寄るりんごに、慌てつつ弁解した。


「い、いや、戦法かと思ったんだよ。りんご、結構負けず嫌いだから、勝負の為にパンチラぐらいやりかねないと思って。」

「そんなわけ、ないでしょうっ。それじゃ、私、痴女じゃないですかっ!」


「お、おう。ごめん…?」


「もうっ。えぐえぐっ。もう一回、更衣室行ってきます…。」


完全なる逆ギレだが、パンツを見てしまった罪悪感もあり、思わず疑問形で謝ってしまうと、りんごはそれ以上気持ちの遣り場もなく、泣きながら更衣室へ向かったのだった。


        ✽

        ✽


「ハアッ…!」

バシッ!


「はぎゃっ…!」


「フンッ…!」

スパァン!


「ふぎゃっ…!」


「ゲームセットだな。りんご。」

「ううっ…。ま、負けたぁっ…!」



その後インナーパンツを穿き直し、再び、コートで対峙したりんごは、パンチラ戦法をしてしまった事に心折られたのか、覇気のないプレイで、もともと実力差のあった俺に圧倒的な大差で負ける事となった。


「すげー!あっちのコート!」

「女相手に容赦ね〜!」


隣のコートの中学生グループから歓声が上がっていた。


「……。(ど、どうしてこうなった…?)」

「うっ、うっ。」


パンツを見られた上に惨敗し、踏んだり蹴ったりで落ち込んでいるりんごを前に

俺はため息をついた。


本当はりんごと仲を深める為にここに来た筈なんだけどな…。


「りんご…。流石に今日は付き合わせて悪かったし、俺にご飯でも奢らせてくれないか?」

「えっ。で、でも、負けたから私がご飯当番なのに。」


「ああ。今日はハプニングがあったし、勝負はまた今度にしないか?

両親から、りんごと食事でも行くように預かってるお金を消費しなきゃいけないしさ。」


「わ、分かりました。浩史郎先輩!そういう事なら、勝負はまた持ち越しという事で…!

今日は奢ってもらいます。」


元気を取り戻したらしいりんごは笑顔になって、この後はやっとデートらしくなりそうだと俺はホッとしたのだが…。


        ✽




ラウンド8を出た後、俺達はごはん処を探す事となった。

「どこでも、りんごの好きなとこに決めていいよ。」

「え〜。どうしよう…。あっ。あそこに大すき家があります。じゃあ、ご飯、あそこで食べませんか?」

「ハハッ。いくらなんでも、安すぎないか?奢りだからってそんな遠慮しなくても…」


向かいの牛丼屋チェーン店を指差すりんごに、俺は笑って言ったのだが…。


「はぅっ…。大好き屋、ダメ…ですか?|||| 今、大好き大好きセットを頼むと、猫ちゃんの箸置きシリーズがついてくるんですけど…。確かに、浩史郎先輩には牛丼屋は似合わないかも…じゃ、じゃあ、別のところに…。」


「いや、本当にものすごくそこへ行きたいんならいいんだけどな?」


遠慮してではなく、本気でそこへ行きたかったらしく、涙目でガッカリしているりんごに俺は慌てて付け足した。


「やった〜!」


「え?森野さん…!?」

「「?!」」


俺達がそんなやり取りをしていた時、後ろから誰かに声をかけられ振り向くと…。


テニスラケットとスポーツバッグを担いだ見知らぬ女子がりんごに険しい顔を向けていた。


「…!宮内先輩…。」


りんごは呆然と呟いた。


*あとがき*


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m(_ _)m


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