第21話 風紀委員会の彼女
「不合格です。スカートの丈、膝上10センチ!短すぎです。校則だと、膝下5センチとなっているはずですよ?
生徒手帳出して!谷本先生に報告しておきます。」
「ええーっ。この位皆やってるよ?勘弁してよぉ。あの先生説教長いんだからぁ。」
「駄目です。生徒手帳早く出して!」
「はーい。あーぁ。ついてないなぁ。」
風紀委員の腕章をつけた女生徒は、不平を漏らした女生徒に厳しく対応していた。
あらあら。朝から、風紀委員の抜き打ちの服装チェックがあるらしい。
私はつい先日の、西園寺先輩達の件を思い出し、少し身構えたが、そこにいる風紀委員会の生徒の中には西園寺先輩達の姿はなく、ホッとした。
登校した生徒は風紀委員の女生徒数人のきびきびした指示によって、校庭の一画に3列に並ばされていた。私も、一番右端に並ぶと、待っている間、自分の身だしなみを再確認していた。
短い髪をささっと撫でつけ、制服のリボンが曲がっていないか、くつ下はずり落ちていないかチェックした。スカートの丈は膝下5センチピッタリだし、うん。まず問題ないでしょう。
「はい。次の方。」
「はい。」
私は風紀委員の女生徒の方へ進み出た。
緑のリボンを付けているので、2年の先輩だな。
女生徒は厳しい表情で、私の格好を上から下までチェックすると、にべもなく言い捨てた。
「はい。不合格。生徒手帳を出しなさい。」
「えっ?不合格?」
私はショックを受けて、聞き返した。
もう一度自分の服装を確認をチェックしてみるものの、目立った乱れはない。
「どこがいけなかったんでしょうか?」
私は首を傾げながら、生徒手帳を出すと、女生徒は何でもないことのように言った。
「1−B森野林檎さん。あなたは顔と性格に締まりがないわ。指導する必要ありね。」
「へっ。顔と性格!?」
私は耳を疑った。
「そ、そんな理由で引っかかったの初めてなんですけど、一体どうして…。」
私は風紀委員の女生徒の顔をよく見ると、以前見た事のある顔だということに気付いた。
ツインテールに、何故か真一文字に前髪を切り揃えたその人は…。
「ま…、真由美先輩…!!」
真由美先輩は、ニヤッと歪んだ笑いを浮かべた。
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