take・16

すっかりと夜も更けて、近所の家からは家族の食卓を囲む楽しい笑い声が聞こえてくる。

そんな夕飯時に、何の準備も手伝わずに睨み合っている女の子が二人・・・。


「おい、人の家に勝手に上がり込んでただ睨み合っているとはどういうつもりなんだ君たちは。少しは飯の用意を手伝ってくれてもいいだろ?どうせお前らも食うんだろ?」

「あらあら善樹君、そんなこと“妻”の私に任せてくれればいいのに」

「誰が妻だこの粉吹きババア‼アンタは玄関の掃除でもしてろ‼善樹の手伝いはこのアタシがやる。アタシはお前と違ってこの家の事をしっかりわかっているからなぁ‼アンタの出る幕はないわボケ‼」


なんだこの空気は・・・。俺の家の食卓はこんな紛争地みたいないつ弾丸が飛んでくるかもわからないような場所だっただろうか・・・。


「ま、まぁまぁ、料理は俺が作っといたからな、ほぉ~ら、今日の夕飯はシチューだぞ~」

「あら、美味しそう。料理も出来るなんて、本当に素敵ね善樹君」

「そ、そうか?ありがと。ははは」

「死ね」

「え?」

「なに?嫉妬なの咲川さん?女の子がそんな乱暴な言葉を使っていたら、男性も貴方に殺意しかわかないわよ」

「減滅とかじゃないんだ殺意なんだ・・・」

「うるッッッさいわねこの性欲メタボ女‼アンタみたいなネチネチしたキモイ女に善樹が惚れるわけないじゃない。善樹はもっと明るくて元気で年下の・・・」

「年下の?」

「ア、アタ、アタ・・・、シ・・・、シ・・・」

「?」

「うふふふ、大丈夫よ、安心して咲川さん。善樹君はもう私が欲しくて溜まらなくなっちゃってるもの。だから今日の夕飯はシチューにしたんでしょ?」

「ど、どういうことよ⁉」

「そう、これは彼の愛、子種を表しているのよ」

「・・・、はい?」

「本当にこれに入っているかは別として、そういうことなのでしょう?今夜、本物をたっぷりとお前の下の口から味合わせてやる、そう言いたいんでしょう?」

「いや、違うけど」

「こ、これが、よ、善樹の・・・、せ、せい・・・」

「おい、早生も真に受けるな」

「もしかして、一気に二人も頂くつもりだったの?流石善樹君、やるわねぇ~。でも、浮気は駄目よ?私がその分しっかりご奉仕させてもらっちゃうわ、ダーリン♡」

「う、うわぁ~ん‼」

「わ、早生‼おい‼ちょっと待ってって‼どこ行くんだよ⁉」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る