僕はラッキーブルー

たから聖

第1話 僕はラッキーブルー!

日曜日は、朝早く起きなくちゃ。

だって、

【僕はラッキーブルーだから。】



『ママ〜!ラッキートレイン始まった??』

『もうすぐよ?クスクスッッ』



5歳のテツ君は、慌てて着替える。

『とーーう!ラッキーブルー!』



そう言いながら今流行りの、ラッキートレインごっこをするのが、


毎週日曜日のテツ君の日課使命であった。


テツ君はテレビの前を陣取りつつも、ママにラッキーピンクの役をやらせるのだった。




『未来からの挑戦!俺たちラッキートレイン!!』


テツ君は興奮しながら、ポージングする。


『ラッキーブルー!!』



『………。』

『??ママ〜ダメだよ!ラッキーピンク!!って言わなきゃ!』


『ハイハイ。分かりました。』



ママが

『ラッキーピーンク!!』と言うとテツ君は満足気に

ラッキートレインの戦隊モノを

楽しそうに見ているのであった。



その後は、ホットケーキ🥞を食べるのも、日曜日ならではの

お決まりだ。


テツ君はフカフカのホットケーキを食べながらパパが起きるのを待つ。



パパが歯を磨きながら

遅れて登場だ。


『パパ!!パパはかっこ悪いから、ラッキーイエローだよ。』


『ははは、ぁぁ、そうか?ごめんごめん。でも、パパはラッキーレッドが良いなぁ。』



『ダメ!ラッキーブルーとラッキーレッドは僕の役だよ。』


『そうか、あはは。』



パパは毎日仕事だから、

(僕としては、ラッキーイエローが似合うと思うのにな?)



そしてママに話す。

『僕ね?大きくなったら悪いやつを倒すんだ!困ってる人を助けるんだ。』


『そうね、テツ君なら出来るわ。ママは楽しみよ。』


そう言いながら、

ママはお皿を洗っている。


僕はお腹いっぱいだから、ラッキーブルーとラッキーレッドの

人形で遊んだんだ。





(僕は戦士になるぞ!!そしてママとパパ、皆を救うんだ。)





◇◇◇◇◇◇◇◇


時は経ち………

20年後……。



『とーーう!!』

『ハハハ。先生おもしろーい!』



オレ、進藤テツ25歳。

昔は戦隊モノで良く遊んだものだ。



医学部へ進学した俺は、

ボランティアで今は、塞ぎ込んだ子供達を相手に


ラッキーブルーに変装したり、

余興をやり、医学部仲間と充実した生活を送っている。




あの時、そっと宝箱にしまった、

ラッキートレインの人形達……



それは俺が結婚したなら、

そっと自分の子供に託したいと考えている。



子供は夢を見るものなんだ。

そのを壊してはならない。



そして今日も、

勉強に励む。あの時の母親と父親が優しくオレを包んでくれたから


今度は医者になって



恩返しがしたいんだ。そう……





【合言葉はラッキートレイン】






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕はラッキーブルー たから聖 @08061012

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ