大会八戦 決勝 1-6
第138話大会準決勝と決勝戦
残すはこの試合を含めてあと二戦。
二戦・三戦もするこの大会の二日目、レベル1の半ばから2の後半、良くて3初期程度の学生レベルの魔力な上、慣れない全力の
これは過去の大会や、つい先ほどまでの戦闘経験で知識・経験共に裏図けられた事実だ。
タイマンに疲弊し、魔力が底を尽いた奴らがどうなるかは明白。
大口を叩いていた同ブロック選手たちは、直接・間接的問わず問題なく降す事が出来た。
幸い切り札を切る事無く戦えた御かげで、《魔力》の消耗は抑えられている。
――――と言う訳で俺は今、宛がわれた待機室で座禅を組んでいる。
高名なアメリカの探索者曰く、魔力とは精神力と体力などのエネルギーの混合物で食事や睡眠などで回復すると言われている。
だが師匠を含めた一部の者は、魔力を一切体外へ放出せず体内に留め精神と肉体を休める事で、魔力が回復するという事実を経験則で知っているのだ。
~そのアメリカの探索者マイケル・カイルは、元アメリカ海軍特殊部隊
俺はエナジードリンクで糖分を補給し、アロマを焚いてリラックス効果を高め、足を組んで“心を無にする”と言う
ただリラックスする事だけを目的にして、米国式の瞑想をする。
暫くすると気怠さが消え失せ余計な力が抜けた。
………
……
…
「弱かった……まさかあそこまで弱いとは……」
俺は第七回戦を振り返る。
冬大会の優勝者は高校三年で現在は大学生大会に出ているし、春大会の優勝者はプロチームに所属して現在はアメリカに遠征中を聞いてはいた。
番組の用意している優勝候補? が利根川程度~と言うのはレベルが低すぎないだろうか? とスポーツ飲料を飲み干しながら俺は思考を巡らせる。
………
……
…
電子音が鳴る。
モニターに視線を向ける。
『 444 番 の 選手 は 会場 へ 進んでください 』
「もう出番か……やれやれ、残っているのはレベル2~3とは言え《魔力》型じゃないと、正直ガス欠起こす奴出てくるでしょ……」
この2日間で何度も着込んだ探索者スーツを着込み、プロジェクターを装備すると、腰に大小の刀を差す。
「大分、装備を身に着けるのが早くなりましたね」
――――と俺を呼びに来るスタッフさんとの「装備を身に着けるのが遅い」だのと言うやり取りは慣れたものだ。
「二日間もやってれば、いやでも早着替えはなれますよ……」
――――と俺も慣れた様子で返事を返す。
「まぁ、決勝や準決勝で準備を急かすような真似はしませんよ」
「そうしてくれていると、ありがたいです。次回以降はもう少し、日程とかに余力を持って開催してくれるとありがたいです」
「ディレクターにはそう伝えておきます」
「……では会場にいきましょうか」
………
……
…
『さぁ、第八回が始まって参りました。先ずは選手の入場です!』
この会場の司会を務める羽鳥アナウンサーの声を合図に、入場ゲート前に待機する。
『先ずは青コーナーの入場です!』
手を振り下ろす合図をスタッフさんが出すと、発泡スチロール製のドアが勢い良く開く。
幾つもの黄色系のスポットライトが俺に集中し、プシュプシュと音を立てて、白煙を上げる噴霧機が選手の入場を賑やかす。
白熱電球のライトの熱を伴った光線によりただでさせ、蒸し暑い試合会場の温度は物理的に上昇するように感じる。
『探索者歴は驚異の一カ月未満! だがその実力はホンモノだ! 前回の冬大会や昨年の夏大会参加の選手達を見事な太刀捌きで下し続けるその姿は正にジャイアントキリング 高校一年生! 加藤光太郎』
『対する赤コーナーは、【神速】の異名を誇る前回大会準優勝! 長剣使い。
『両者共に高い攻撃力で相手を捩じ伏せる王道な戦闘スタイル。剛と剛の激しいぶつかり合い。どちらが勝つのか……私気になります!』
――――と解説の杉多もコメントを添える。
『なお、この試合にはゲストととして、日本有数の探索者チームのスリーフッドレーヴェンズのメンバー
『そうですね。『ステータス』は使いこなしてこそ、その真価を発揮します。両選手の技術を見させて頂きたいです。
『はい。番宣ありがとうございます。』
審判を務める男性がマイクを持つと、ルールの説明を始める。
『ルールを説明させてい御ただきます。ルールは単純明快。相手を倒せば勝利となります。なおダンジョン内では発動できない救命の魔道具を用いているため、死亡するダメージを受けた場合強制的に場外に吹き飛ばされます。
刃物を用いているため、最悪の場合死亡する可能性もありますが、回復魔法を使える探索者と潤沢な回復薬を用意しておりますので、安心して戦ってください。なお不正が発見された場合は即時失格となります。両者よろしいですか?』
「はい」
「……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます