第30話ダンジョン五日目3帰還
オークを全て倒し終え、カバンから出したタオルで額の汗を拭う。
「さ、流石に疲れたぁ……《魔法》の使い過ぎか?
脳が糖分を欲してるのが分かるな、ちょっとだけ休憩しよっと……」
軽く水分補給を行い、包装のアルミを剥いて、チョコバーを頬張る。
個別包装してある為、
「うん、甘い」
ラーメンや甘いものが好物なせいで、高校入学前は『ぷにょっ』としていたが、ここ最近のハードワークのお陰か、体重もかなり減ってスマートになってきた。
特に甘いものは、ダンジョン内の休憩中だけ!と決めているので、食べる量も必然的に減ると言う訳だ。
チョコレートには、カカオポリフェノールと砂糖を含んでいるため疲労回復、精神の安定・リラックスを促す効果が高く、またカロリーも高く嵩張らないため、ダンジョン攻略の間食に向いているお菓子と言える。
「さて、後は楽しい剥ぎ取りタイムだ!」
剝ぎ取り用ナイフを、分厚く強靭な皮膚と筋張った筋肉、分厚い脂肪に覆われた
「仕方ない……『
――――と短文呪文を詠唱し、《魔法》【
途端、解体ナイフが黄金色に輝く。
つい先ほどまで刃を拒んでいた、タイヤのように硬いオークの皮膚は難なく切り裂かれ、
これが赤色なら美味そうに感じるのかも、などと考えながら作業を進める。そういえばなんで「貴族の血は青い」って言うんだろう?
魔石を探すのに心臓付近に手を突っ込む必要があるんだが、その…手に伝わる感触が実に
ビニール袋越しに触るホルモンの感触なのだ、
「よし! 何とか取れた……にしても結構サイズがでかいな……」
魔石をウエストポーチにしまって、次々と解体作業をしていく……
全ての解体作業が終わり、次はオークが採掘してた所の確認だ。
言って石と鉱石の違いなんて分からないんで、それらしい物を片っ端から袋に放り込むだけだ。
………………
…………
……
~ダンジョンの出入り口~
入場ゲートにライセンスをかざし、ダンジョン退出時の事だった。
「今日は特別重そうですね (⌒-⌒)ニコ...」
「高値で買い取ってもらえるといいですね! でも、あんまり無理しちゃ危ないですよ」
俺が持っているピッケルやスコップを見ながら、ゲート監視員のお姉さんがニッコリと微笑んで話しかけて来た。
このおねぇさん:ダンジョン職員という事もあって服装は、パンツスタイルが基調な落ち着いた色目の、極一般的OLスタイルなのだ。
顔立ちもそうだが、姿勢が美しい、思わず二度見する程かっこえぇ
ただ、気配が体育会系のソレで、武装もしているので正に『キャリアウーマン』の佇まいなのである。
にしても、武装キャリアウーマンって結構なパワーワードだよなw
ただ、この声掛けが信愛によるものならいいんだけど、不審者に行う威嚇の挨拶だとすっごく心が折れる。
最近、早朝ランニングでよく挨拶される……目から汗が (๑ १д१)
「ありがとうございます。気を付けます。お仕事ご苦労様です」
様々な思いが交錯する俺は、少し急ぎ足で買い取りカウンターに向かう。
整理券を受け取ると、直ぐにランプが点灯し機械音声で自分の番号が呼ばれる。
「お待たせ致しました。拾得物をこちらにお願いします」
受付の人がそう言うと、カウンターの下の部分が空き宝箱事に持つが吸い込まれていく。
「ライセンスと振込先の銀行カードをお願いします」
俺はカードを提出する。
「確認いたします」
「今日は凄い数の武器ですね……今日も左に行ったんですね……」
一昨日あれだけ忠告したのに……と言いたげなジト目をしながらカウンターのお姉さんは、呆れたような口調でそう言った。
「ええ、まぁ稼げますから……」
「お金が必要なのは何となく分かりましたけど、命あっての物種です。十分に休息を取る事と、パーティーで探索する事を強くオススメします」
潜るのは自己責任だけど安全マージンをもう少し確保しろ。と言われてしまう……自分としては1日潜って一日休んでるんだから、十分休んでいるつもりなんだけど……他の冒険者は違うのだろうか?
「あははは……ぼっちの俺にはパーティーとか難しいですよ……」
「
「それと前回も前々回も申し上げた通り、申し訳ありませんが、マジックアイテムやそれに類似する品の買取査定には、確認作業に少々時間がかかります。今この場で査定額を算出する事が出来ないので、お預かりしさせて頂き、後日査定額を通知するという流れに、なりますがご了承ください」
「分かりました」
「魔石が158個になりますので暫定で……68,100円になります。武器が未定ですので、1,2週間で査定が完了しますのでその時にお支払いいたします」
「お預かり証明書にサインお願いします」
証書にサインをする。
「こちらがお控えとなっています。なくさないようにお願いします。本日は御利用ありがとうございました」
「ありがとうございます」
さて今日は思いのほか早く終わったし、夕ご飯まで時間もあるガッツリとご飯が食べたい気分だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます