第25話ダンジョン生活四日目5実験
そんな事を考えながら、解体ナイフ片手に刀を振るう。
「あっ失敗した……」
「運の良いゴブリンも居たもんだ……」
全く、この不運が強敵との戦闘中に起こらなくて、本当に良かった。
しかしゴブリンは、斬られた胸を押さえるのではなく、その頭を抱え地に伏せ苦しんでいる。
「もしかしてこれが3つ目の
偶然効果検証が終わったなと、ポリポリと頬を人差し指で掻く
「まぁ、可哀そうだし殺すか……」
頭を抱え、土下座のような姿勢で差し出された首を刎ね、絶命させる。
実感できる範囲だけでも、大幅に攻撃力が強化されたのでよしとしておこう……
「さて、後は楽しい剥ぎ取りタイムだ!(あー働きたくないでこざる)」
から元気の言葉を口にし、ただ黙々と剥ぎ取る。
途中、匂いに誘われたモンスターを殺しつつ、死骸の数を減らすのだった。
まぁ今は一端落付いて、お茶とチョコバーを齧っている所だ。
「疲れたぁ~~今日は隠れてるモンスター狩りやめようかな?
でも塵も積もれば何とやらだし、毎日のバイクのガソリン代と間食代に、武器のメンテナンス代以上は稼がないといけないし……仕方ない今日もやりますか……」
手に入れた魔石をウエストポーチに仕舞って、コボルトから強奪した袋にも魔石を仕舞っていく……
「確かコボルトって元々、醜い妖精・精霊で家事を対価と引き換えにやってくれたり、鉱脈に住んでる悪戯好きのボガート・ノーム・ノッカー・ブラウニー・ゴブリン
特に金属由来のネタが多くって、確かコバルトの語源だっけ?
そう言えば買い取りの人が、浅い階層でも貴金属やダンジョン金属を持ってて、ある意味ガチャチケモンスターって言ってたなw」
そんな事を考えながら、道中現れる雑魚を屠りながら引き返し、ダンジョンの出入り口でゲートにライセンスをかざしている時の事だった。
「今日はまた、一段と大量ですね」
パンパンに膨らんだウエストポーチを指さし、ゲート監視のお姉さんが、ニッコリと微笑んで話しかけて来た。
ここ一週間ピーク時間を外し、短時間でのIn・Outをしている為、記憶にも残ろうというものだが…
ダンジョン職員という事もあり、ジャケットにスラックスと、服装こそキャリアウーマン風ではあるものの、雰囲気は体育会系女子OGのそれ、目立たず武装までし、誘導棒を手にする姿に、微妙な丁寧語になるのは、ある意味仕方がないことだろう。
「ええ、モンスターにモンスターをぶつけて結構倒せたんですよ」
「それは良かったですね。今、買い取りカウンター空いてるので直ぐに対応できると思いますよ?」
「ありがとうございます。 じゃぁすぐに換金してきますね。
お仕事ご苦労様です(^^)ゝ」
俺は駆け足でカウンターに向かう。
整理券を受け取ると、直ぐにランプが点灯し機械音声で自分の番号が呼ばれる。
「お待たせ致しました。拾得物をこちらにお願いします」
受付の人がそう言うと、カウンターの下の部分が空き、宝箱ごと荷物が吸い込まれていく。
「ライセンスと振込先カードをお願いします」
俺はカードを提出する。
「確認いたします」
「今日も結構な数ですね。そんなにモンスターに遭遇しますか?」
「ええ、結構いますよ。他の方はそんなに稼いでないんですか?」
「ええ、この時期は学生探索者が増えますから、中層以上に潜らないと実入りが減るそうです。ですからどこにそれだけの数のモンスターが居るのかと思いまして……」
「なるほどそう言う事ですか……僕の潜ってる方全然人が来ないんですよね……」
「それってもしかして……大きな分岐を左に行った方ですか?」
「ええ、パンツが赤かったので左にしました」
「左側は中層に直ぐ降りられるショートカットの一つなので注意してください。出来ればいかない方が良いとは思いますが……」
「気を付けます」
「それと前回も申し上げた通り、申し訳ありませんが、マジックアイテムやそれに類似する品の買取査定には、確認作業に少々時間がかかります。
今この場で査定額を算出する事が出来ないので、お預かりしさせて頂き、後日査定額を通知するという流れになりますが、ご了承ください。」
「分かりました」
「魔石が225個になりますので暫定で……75,500円になります。武器が未定ですので、1,2週間で査定が完了しますのでその時にお支払いいたします」
「お預かり証明書にサインお願いします」
証書にサインをする。
「こちらがお控えとなっています。なくさないようにお願いします。本日は御利用ありがとうございました」
「ありがとうございます」
今日は少し贅沢して……探索者でも入れるサウナに行くか……お値段も1000円とお手頃で、武器収納ロッカーの貸し出し付きと言う優良店だ。サウナと数種類の風呂で疲れを取ろう。
俺はルンルン気分で駅前にあるサウナに向かった。
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