第5話 天神様達の名前
【最後にもうひとつ。あなた方の名前です】
「名?」
「……我には主よりいただいた名が」
【その名なのです。こちらでは、奇異な目で見られる可能性が高いのです】
「……ふぅむ」
たしかに……以前の日本でいた頃。宮司らが見ていたテレビなどで観た異世界とやらは……外の国のような場所に似たものが多かった。
横文字、英語、洋風の食べ物もあるが日本の食べ物も豊富。
しかし、日本語はあまり存在していない場合が多い。今も私や飛び梅が世界樹と交信は出来るが、それはたしか異世界への転生などにあたっての特典かもしれぬ。
なら、たしかに【
【……お分かりいただけましたか?】
「飛び梅はわからないが、私は特異な場所で生活していたからね? なんとなくはわかったよ。であれば……私はミザネと名乗ろう」
名の一部を抜いただけだが、我ながら安直でも悪くないと思う。
世界樹に向くと、葉を輝かせてくれた。
【よろしいかと……しかし、ファミリーネームも必要でしょう。そこは梅にちなんで、私から『プラハド』と】
「うん、いいね」
異世界転生らしい名前が出来た。
あとは飛び梅だけだが……と、彼を見れば物凄く顔を輝かせていた。どうやら、私が名を改めたことを受け入れたいのかもしれん。
たしかに、飛び梅はかつての人間達がつけた名だからね?
【……飛び梅はいかがしましょう?】
「そうだね。せっかくの呼び名を消すのももったいない……『トビト』はどうだろう?」
もう一度彼を見ると……まるで手懐けた犬のように喜んでくれていた。なので、ファミリーネームとやらは……私とは違うものにと世界樹が『リディア』と付けてくれたよ。
私は従兄弟か縁戚の関係にしようとは思ったが……外見がかけ離れているらしい。
私の今の姿は……どうやら、祀られていた年老いた年代ではなく……飛び梅よりも若い顔立ちだそうだ。世界樹が水鏡を出してくれると、たしかに若い『私』だった。
元服を終えた……日本で言うと十五歳くらいかな?
【老いた姿では色々不便があるでしょう。万全の身体を、私が用意しました】
「……では、この話し方も不自然だろうね?」
はるか平安の世ではなく、日本でもない異世界。
飛び梅は青年だが……私は少年か。
色々面白い生活が出来そうだ。
「……我もでしょうか? 主よ」
「そうだね。……
元服前の言葉遣い……随分と久しぶりに使うものだ。
ただ、飛び梅は私に敬語を使わないことなどが……かなり苦戦してしまった。
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