不登校が連れてこられたファンタジー世界で私は最凶だった

NYOA.

プロローグ

私はぼんやりとした思考の中で、何かを考えていた。

が、今はもうそれはどこかへ行ってしまったようだ。

私は今まで何をしていたのだろう。


ぼんやりしていた脳が徐々じょじょえだしてくる。

私はようやく昼寝をしていたことを思い出した。


目を開けると、当然私、倉敷舞華くらしきまいかはいつものようにベッドに寝転がっていた。

もう何度目か分からない程に見飽きた、蓄光ちっこうタイプの星のステッカーが貼られた天井、閉められたカーテンは隙間すきまから冬らしい日の光が差し込んでいる。

ベッド横に置いてあるスマホを手繰たぐり寄せて画面をつけると、ロック画面に表示された時刻は午後4時を知らせていた。


ふと、どこからかおいしそうな匂いがしてきた。

この香ばしい匂いは今日のシェフ、母の特製カレーだろうか。

そういえば珍しく母にリクエストしたんだっけ。こういう張り切って料理を作っている日は大抵味見をさせてくれるはずだ。


食欲に駆られた私はようやくベッドから体を起こし立ち上がった。

いつものように、罪悪感と重い足取りにため息を付きながら。

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