第9話

「…じゃあ…萩原はぎわらさん…」


不本意だが。


「無理です。藤原さんには戻ってもらいましょうか」


「え!で、でも…ここの撮影…準也じゅんやさんだけでは…」


「俺の考えでは、みのるは撮影得意だと思うんです。写真撮ってるの見たことあります?」


「いいえ…」


「デザインを考えているわけなんで、構図とかも考えつくかと。藤原さんは、細やかに仕事をすると聞きました。あなたは、ここでは持て余してますね」


「そ、そんなことないです。せっかく慣れたのに…」


「あちらのカメラアシスタントたちが、藤原さんにまた教えてもらいたいと言っていましたよ」


「え」


そんなの初耳だ。


「カメラマンたちは手一杯で、教える暇すらないとか」


そ、そうだよな…忙しくてバタバタだし…誰も何も教えてくれないだろうし。


「予定調整したら、東京へ戻ってもらいますね。それでは、はるさんをお呼び下さい」


うーわ、話切られた。この人、本当に足助さんの親戚って感じ。社長…この人の顔が好きなんですか?それとも、この高圧的な感じでしょうか?社長、なぜ来てくれないんですか…もしや、もう仕事しないのか?


「藤原さん、呼んで下さい」


「あ、はい!失礼しました」


考え事してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る