第23話 天慶学院生徒会
天慶学院生徒会__
それは生徒たちの代表者であり、学院内でもある程度の特権を持つ天才又は権力者の集まり。故にその生徒会の中でも会長と副会長は人徳性や対応能力、頭脳が求められる。
そんな厳しい条件でも毎年会長と副会長の座が争われているのかというと、それは会長と副会長になると日本のトップとコネを作れるからだ。
天慶学院は日本にとっても未来を担う優秀な人材を生み出す重要な場所だ。そのため学院にはさまざまな業界のトップが訪れる。そして気に入られたり、将来を見込まれれば社会に出た時に強い後ろ盾になってくれたりするため生徒たちは会長と副会長という座に憧れている。
「さて、これで仕事もひと段落かな?」
今期の生徒会長天ヶ瀬優斗は一通り目を通した書類を整理しながら呟く。
「いえ会長、まだまだ仕事はございます。」
それに対して副会長、橘麻耶は追加の書類を生徒会長の机に置いた。
その量に唖然としながらも、側に置いてあったコーヒーで思考を整えた。
「はぁ……全くとんだブラックだよ生徒会長ってのは」
「会長、そんな泣き言を言っているくらいなら手を動かしてください終わりませんよ」
「相変わらず冷たいなー……ん?」
作業を開始しようと一枚目の報告書を見て天ヶ瀬の表情が変わった。
「橘くん、ここに書いてあることは事実なのかい?」
さっきまでとは別人のように真面目な顔で問う。
「はい、事実です。慶陰会は壊滅いたしました。」
その言葉を聞いて天ヶ瀬は頭を抱えた。
慶陰会といえばこの学院を裏から操ってきた組織だ。しかも今代の慶陰会の会長はあの一条家の御息女である一条澪だ。もし危害を加えようものなら今後社会で生きていくのが難しくなったり、最悪の場合闇に葬られる可能性があるため生徒会でも迂闊に手を出せずにいた。
だが今確かに彼女は慶陰会が壊滅したと言った。
「何故壊滅したのか分かるかい?」
「一条澪の退学による圧倒的権力を持つリーダーの損失と思われます。」
「にわかに信じがたいが……しかし何故彼女が退学を?」
「おそらく何者かに脅されやむなくかと思われます。」
「一条家の人間を脅せるような人間ねぇ」
一条家は今現在日本を裏から操っている陰の一族。そんな一族を脅せる存在などいるはずがない。
「それと慶陰会の壊滅前に慶陰会が探っていた人物がいたんです。」
「一体誰だい?」
「鳳条グループの令嬢の鳳条優菜と如月グループ令嬢の如月玲奈です。どうやら犬猿の中である鳳条と如月の令嬢が親しくしているのが彼らにとって気に入らなかったようです。」
「なるほど、つまり君は鳳条と如月の裏に一条澪を退学させた人物がいると睨んでいる……そういうことだね?」
「はい」
もし本当に鳳条と如月の裏にその人物がいるとするならばその二人には警戒したほうがいいだろう。野放しにしておくには危険だがこれが今のところ最善だ。
「それにしても鳳条に如月の令嬢か……面白そうだな」
天ヶ瀬はコーヒーを口にしながら静かに呟いた。
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