第7話
残りの時間ですることが決まったから、さっそく家族のいる地元へ帰ろうと準備を始めた。前に実家に帰ったのは三年半前、生まれた子供を見せに帰った時以来だ。その時は、孫ができてよほどうれしかったのか、たくさんの手料理と満面の笑みで出迎えてくれた。今回もよろこんでくれるといいな、とリュックに荷物を入れながら思った。
実家は、埼京線の電車に二十分ほど乗り、そこからはバスで三十分程のところにある。都心から少し離れると、すぐに大きな山々が現れる。小さい頃はよく父親に連れられて山に登ったなぁ、とバスに揺られながら景色に懐かしさを感じていると、降りる駅でのアナウンスが鳴った。
バスを降り、少し傾斜のある坂道を五分ほど歩くと、見慣れた茶色の屋根が見えてきた。
ピンポーン、と家の呼び鈴を鳴らすと、中からはーい、と声がして、玄関の戸が開いた。
「久しぶり、母さん。」
そう自分が言うと母は嬉しいのか、びっくりしたのかわからない表情で自分の名前を呼んだ後、入んな入んな、と言って家の中に招き入れてくれた。
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