第17話

 カエデ、カウマと共にカリブ最大の都市ハナマを夜歩いた。

 目立たないように現地の衣装を着た。

 私も含めて3人とも目立つ容姿がしてる。

「君達、外国人〜」

 声をかけてくる馬鹿な男を気絶させながら前進する。

 町の一流のホテルにたどり着いた。

「ここです。姫様」

「えらい目にあった、昔お忍びした時も、こんなに声をかけられなかった」

「姫様の国はプルカを被るから、国民性の違いね。

 姫様かわいいから、夜歩くとこうなる」

 昼歩いたら黒焦げになる。

 ホテルに入るとロビーに現地の衣装をきた女がいる。

 カエデを見るとスクッと立ち上がった。

 髪が赤と緑の2色。

 ダンピール。

「初めましてマールズ・シャリード・アナスフィア姫」

 優雅に一礼した。

「レオノーラ・ロスチャイルドです」

「マールズ・シャリード・アナスフィアです」

「カウマだょ」

「初めましてカウマ」と微笑む。

「姫様、向こうのレストランに食事を用意しました。

 人間の食事だけどお口にあうかしら」

「消化器官は機能してますから大丈夫です」

 レストランで4人かけた。

「先に渡しておくね」

 執事がホールディングバッグを3つ持ってきた。

 異次元とつながっていて、200キロが20キロになる。

 それでも普通の女性には重い。

「このバック。モアには昔、儲けさせてもらったわ」

 イスの背もたれにバッグをかけた時、ワインが注がれた。

「ねぇ、姫様」

 ワインを飲みながらレオノーラが口にする。

「モアの事は私に任せてニューヤンキーに来ない?」

「それはどういう事でしょう?」

「ここで旅は終わり、私の庇護下に入って暮らさない?

 人間を吸血しなきゃいけないなら、複数の人間と私が金銭的に契約して提供してあげる」

「モアさんを救出するのを手伝ってもらうのはありがたいです。

 モアさんとあなたの間に情があるのだとも聞いてます。

 私のことであなたに助けてもらう義理はありません」

「捨てられたダンピールを保護したりしてると、姫様みたいの境遇の同族を見捨てられない。

 仕事なら紹介してあげる。

 自分で稼いだらいい。

 モアとの知り合いだし」

「それは生きているとは言わない」

「ごめんなさい姫様。

 変なことを言って」

「モアさん、昔どんな人だったんですか?」

「はあ、アンタ、アイツに惚れてるの?

 処女が惚れるような男じゃないわ。

 昔から最低の人種よ」

「イエ、惚れている訳ではないけど」

「妙に保護欲をかきたてられる、面白い男だけどね。

 昔、冒険者をやっている頃、カワイイから愛人にして援助交際。

 そしたらサルディーラ女王の夫。

 政商として巻き込まれたら、闇堕ちした師匠と戦うとか言って冒険者に逆戻り、呑気に世界一周。

 どこに行ったかと思えば、隣の大学に戻って研究三昧。

 やっと落ち着いたかと思えば、今度は勇者一行をプロデュース。

 勇者からクビになって政治から足を洗ったかと思えば、共産主義にクビをつっこむ。

 こっちは資本主義者、民主主義より開発独裁の方が肌にあってる。

 何考えてるのょと怒鳴れば、格差が広がりすぎたとガンとして譲らない。

 俺達は100年後答え合わせができるとか、カッコいい事言って、間違いでしたで済ませる。

 魔族や権力や宗教に狙われて日本に亡命」

「波瀾万丈ですね」

「妖精の巨大な魔力があるんだから、護身用の触媒を使った呪文スペルぐらい覚えればいいのに、魔法を覚えたら馬鹿になるって本気で信じている」

「へんな自信がついたら、用心しなくなる。

 モアさんはそれくらいでちょうどいい」

「最低3日で離婚、普通の女には無理ね」

「私なら3時間で離婚です」

 カエデとカウマが目を丸くして。

「酷い言われよう」

「言われようです」

「上手なのに」

「上手です」

「そこは否定しないけど、

 三年ぶりに会ったら、積もる話もあるのに腰に手を回してベッドに連れて行く」

 レオノーラがワインを飲む。

「ロクでもない男ですね」

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