点取り屋

@ionic

第1話 なぜシュートを撃たない?

子供の頃からサッカーが好きだった。

小学生ながら身長160cm。体重70kg。

そんな恵まれた身体を持っていた俺は、その身体を全て使った全力のシュートをゴールに叩き込むことが心の底からたまらなく好きだった。

一方で、パスやドリブルは心底面倒だった。

何せセンターサークルから思い切り身体を使って撃てばゴールに入るのだ。

わざわざ柔らかいタッチを使って誰かにパスを出したり、走りながら細かいタッチでボールを触ったり、相手を交わしたりしなくても点は取れるのだ。


サッカーは点を取るスポーツだ。


点をより多く取ったチームが勝つし、点を一番取った奴が間違いなく一番の功労者だ。


なら点を取ればいい。

そのためにはシュートを撃たねばならん。

なのに周りの奴らはなぜシュートを撃たない?

俺と同じように出来なくても、ペナルティエリア周辺からなら撃てるだろう。


しかしそこまで行ってもパスを選択し、挙句に外す。


せっかくの攻撃のチャンスが、時間を使っただけで終わってしまう。点を取る可能性すら産まずに。


そんなことを思うがゆえに、俺はどこからでも、どんな体勢でボールを受け取ろうとも、ゴールを視認できたならシュートを撃つ。


そんなサッカーをすることに決めたのだ。


シュートを撃てればそれで良い。点が取れたら尚良い。

それが俺のサッカーの哲学だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る