第二の指令とやっぱり役に立たない支給品
「そうか。僕は助かる方法を見つけられる、自分の能力で。つまり不死身なんだ。
僕、次の任務へいってきます!どうせすぐに次の任務が来ると思うので。」
そう言って僕はベッドから起き上がろうとした。
「あっ」
看護師の人がなにかいっていた気がしたが、躍起になっていた僕の耳には入らなかった。
僕の体に雷が落ちたかのような激痛が走る。
「ガハッ!」
今までなかったような痛みに言葉にならない声をあげる。
「あの、全身骨折しているので何ヵ月か安静にしててください。」
早く言ってくれ。
――数ヵ月後
一応回復したため、退院が許された。ギブスが数ヵ所についているが。
「三段原三丁目付近の家の屋根にモンスターが出現したぞー。至急いけー。」
そんなことを思っていたが、仕方なく出発した。出発しなかったらどうにもならないし、体がまた全身骨折する可能性があるからだ。――
ちなみに、支給品は前回の事故で木っ端微塵になり、見事全滅したため、新しいものとなっている。そして、移動手段がなんとアップグレードした。前回の99%欠陥でできた車に代わり、――――95%欠陥でできたキックボードに。
そして、このキックボードのめちゃくちゃ危な、素晴らしい所は、カーブをしようとすると自動的に急ブレーキをするのだ。これで超スピードでカーブをして軌道が大きく膨らむことがない!その代わり盛大にずっこけるという(割りに合わない)代償を負うが。
ちなみに、このキックボードは近年話題になっている電動のやつではない。完全足こぎ式で動力もモーターではなく自分の足だ!というか、この国に電動キックボードなんか作らせたらニュース番組の大半が速報になるだろう。左上のテロップには「電動キックボードで事故 1名重症」などと出て番組は報道番組ではなくキックボードの乗り方講座と化すだろう。
ということで、僕は現場へ移動し始めた。
「モンスターって大体危ないらしいから一旦遠くから観察して攻略法を知ってから挑んだ方がいいよ。攻略法がすでに判ってるから。あ、支給品のなかにモンスター判別機能付望遠カメラと攻略本入れておいたから。」
と言っていたからだ。
まあ、攻略法を知っておいた方が大怪我の確率が99%から98%まで下がるので使っておく。この国にしては久しぶり、ではなく初めてのまともそうな物で自然と独り言も増える。
「これかな、望遠カメラ。デカ!重!レンズが車のタイヤくらい大きい。綺麗に映りそうだな。確か、ここから見ると米粒ほどの大きさのモンスターを映してからこれを拡大・・・うわ!画質悪!デジタルズームかよ。しかもピント合わなすぎ。結局ダメじゃん。」
――全然まともじゃなかった。
――10分後
いまだにピントが合わない。すると、通信が来た。
「
「お前から支給されたカメラのピントが合わなくて攻略法がわからないんだよ!」
通信を切った。
――10分後
やっとピントがあった。カメラについているモンスター判別ボタンを押す。画面に「Loading」の文字が表示される。
――3分後
「解析が終了しました。このモンスターは”ワーキンビービー”です。」
機械音声が流れる。僕は攻略本を取り出したのだが、
「なんだこの表紙!」
表紙には、明るい絵と共に「これであなたもモンスターハンター!モンスターの倒し方全集 超最強100スペシャル!」と書いてあった。命懸けのバトルの方法を攻略本みたいに書くな。
とりあえず、この本を使わないと倒せないので調べてみると、
「ワーキンビービー すばしっこく飛び回りながらおしりの針から毒液を発射する。だが、針がなくなれば力がなくなって落ちてくるのでそこでお腹に剣を突き刺す。ちなみに、戦い初めて3分ほどたつと仲間を呼ぶのでそれまでに倒す。」
結構大変そうだしタイムリミットもあるので、工事中の体で行っていいのかわからないが、とりあえず出発する。
ちなみに、出発する前に今の被害状況を見たら家が10件倒壊していた。
近くにいくと、早速襲ってきた。大きさは自分と同じくらいで人型な感じだ。なんか子供の頃に見ていた戦隊ヒーローものに出てきていたような気もする。まあ、そんなことを気にしている暇はないので自分は支給品の鉄の剣を出す。
そいつが毒液を発射してきたが、僕は中学校時代のサッカーで培った反射神経で間一髪で回避する。ちなみに、僕はもうサッカーをやめたので反射神経は鈍り始めたし、足も工事中なので結構危ない。
この後、発射されては避け、発射されては避けを繰り返していたのだが、支給品の腕時計を確認すると、あと30秒で3分になる。もう倒さなくては。すると、そいつも疲れてきたのか少し高度が落ちた。これがチャンスと思い、僕は一気に近づく。そいつは慌てて逃げようとしたが、もう遅い。僕はジャンプして針を斬る。そいつがひょろひょろと落ちてきた。そこで僕はお腹に剣を突き刺す。そいつは何度か痙攣したのち、動かなくなった。
僕は退治したことを
――腐敗が早い。
僕は考えるより先にダッシュしていた。少しでもモンスターから離れようと。
その1秒後、僕は爆風に吹き飛ばされていた。そいつの腐敗が急速に進み、発生したガスによって破裂したのだ。
僕はその爆風によって気絶した。
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