【短編】そよ風はやすらぎ

奏流こころ

外の世界に憧れる私

 今日も大きな窓越しから外を眺める。

 季節が変わらない限り、暫く同じである。

 晴れだろうと雨だろうと曇りだろうと。

 冬だと銀世界が広がる為、雪解けしない限り、景色は変わらない。

 寒くて変わらない…苦痛に感じてしまう。


 私はいつになったら外に出られるのだろう。


 早くここから出たい。

 難しければたった1日だけでも、半日でもいい。

 外の空気を吸って吐いて、心を一新したい。

 心を綺麗にしたい。

 なんて、ね。

 大きく溜め息1つ。


「いたいた」


 最近ここに来た舟喜ふなき君。

 部活で足を骨折したということで、今は入院していて車椅子に乗っている。

 それで、デイルームで出会ってから、よく話すようになった。

 明るくてちょっとお調子者な感じだけど、話すととても楽しい。


「外に出ようよ」

「うん、良いよ」


 外と言ってもお庭に行く。

 ちょっとしたお散歩程度。

 敷地内から出られたら、どんなに幸せなのか。

 でも今は彼との時間が大事だし、楽しいから我慢する。

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