第37話【何故】配慮なんて知るか!!全部実況する!!(ヤケクソ)【こうなった?!】13
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「なんで、特定班そんなことまで知ってるんだよ」
特定班の書き込みに、思わず思考が口をついて出た。
「あ、防犯カメラか」
特定班は、学園の防犯カメラの映像をチェックしている節がある。
■■■
870:名無しの冒険者
でもさ、どうするの?
871:名無しの冒険者
果し合い、行くん??
魔眼保持者??
872:魔眼保持者
行きたいけど、めんどい
ダルい
873:名無しの冒険者
おや、てっきり良い実況のネタだー
って言うかと思いきや
874:魔眼保持者
つーか眠い
875:考察厨兼迷探偵
魔眼保持者としてはめんどくさいのか
876:魔眼保持者
ほんと、めんどい
こう、なんつーの?
ウザイ
877:名無しの冒険者
向こうは痛めつけるの目的だもんな
878:名無しの冒険者
まぁ、行かない選択肢もあるが
それはそれで他の生徒からのイジメがさらに激化するだろうし
879:名無しの冒険者
激化したら
それはそれでウザったくなるもんな
880:魔眼保持者
真夏の熱帯夜に、蚊の音が聞こえてきて
対処してたら寝不足気味になる程度のウザさだ
881:名無しの冒険者
魔眼保持者からしたら
地味な嫌がらせってことか
882:名無しの冒険者
うわ、たしかに嫌だwww
883:考察厨兼迷探偵
じゃあ、ちょっと社会勉強させてやろうかね
884:名無しの冒険者
>>883
何する気だよ?
885:考察厨兼迷探偵
まぁ、でもそれをするには魔眼保持者の協力が必要なんだけどさ
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「協力??」
考察厨兼迷探偵の書き込みに、ユートは首を傾げた。
続く書き込みを読む。
そして、
「まぁ、たまにはいっか」
納得し、協力することを承諾した。
と言っても、ユートがしたのは指定された時間に遅刻すること、ただそれだけであった。
しかし、これがいけなかった。
チェスタの提案に従って、あえて遅れて指定された場所、河原に行ってみると、そこには地獄が広がっていたのだ。
警察、消防、救急が揃っている。
そして、河原には血の海が出来ていた。
ユートが到着したときには、風紀委員長を始めとした、ユートを粛清しようとした風紀委員達が変わり果てた姿と成り果てていた。
そして、次々にブルーシートに覆われて運び出されて行く所であった。
「いったい、なにがあったんだ?」
当然の疑問が口から滑べりでた。
ユートは少し離れた場所に移動する。
そして学園でも時折そうしているように、魔眼で現場を見た。
過去視である。
その瞳に、過去の映像が映る。
「……魔族」
ユートが見たのは、彼が現れるのを待っていた風紀委員長達。
そんな彼らを惨殺する魔族の姿だった。
見たところ、青年のように見えた。
そんなユートに近づく気配があった。
覚えのある気配だ。
ユートは気配に振り返る。
そこには、険しい表情をしたチェスタが立っていた。
「魔眼で見たのか?」
チェスタが確認してくる。
ユートは頷いた。
本当なら、チェスタがわざと風紀委員長達のことを警察へ通報する予定だった。
本来なら禁じられている決闘、喧嘩を行おうとしている学生達がいる、と。
事実、頃合を見計らってチェスタは通報した。
そうして彼らにお灸をすえる、というのがチェスタの提案だった。
しかし、通報から警察が駆けつけるまでのほんの数分の間に、ユートが過去視でみたように魔族が現れた。
そして、風紀委員達を惨殺してしまったのだ。
チェスタ含め、通行人はその一部始終を目撃していた。
惨殺がすっかり終わった直後、警察が到着した。
その時には、目撃者たちの悲鳴やら怒号で現場は騒然としていたとのことだ。
すぐに消防と救急まで駆けつける事態となった。
そして、遅れてユートが現れたのであった。
「他の通行人には目もくれていなかった」
チェスタは顎に指をあて、考えこむ。
「目的は無差別攻撃ではない?
じゃあ、いったい……??」
チェスタがユートを見た。
閃くものがあった。
「まさか」
チェスタが考えを口にしようとした時。
ユートの携帯端末が着信を伝えた。
イーリスからであった。
「はい?」
『あっ、よかった!無事なのね?!』
通話に出たユートに、イーリスはホッと息を吐き出す。
『さっき、風紀委員達が魔族におそわれたって連絡がきて』
そういえば、ユートと風紀委員達の喧嘩騒ぎは噂になっていた。
イーリスなんて、行かない方がいいと言ってきたくらいだ。
「あー、うん、ちょっと用事を足してたから遅刻したんだよね、俺」
『とにかく、無事なのね?』
イーリスの確認に、ユートは適当に返す。
すると、今度は生徒会長に代わると言われてしまう。
というか、代わった。
『無事でなによりだ。
悪いがすぐ、今伝える病院にいってくれ』
なんでも、風紀委員達の救命をしてくれとのことだった。
それが聞こえていたのだろう、チェスタが携帯端末を奪う。
「あのさぁ、会長さん?
いくらなんでもそれは、調子よすぎじゃないか??
だってそうだろう?
風紀委員達からの、ユート君への扱いは知ってるよ。
こいつらは、絵に書いたようなクズだ。
このまま死んだ方が世の中の為になる程度のクズだ。
まぁ、そのクズをのさばらせておくアンタも相当なクズだけどな」
(どんだけ貴族嫌いなんだよ、このエルフ)
ユートはダルそうに、チェスタから携帯端末を取り戻す。
「あー、なんかすんません。
とりま、病院、いきま」
ユートの言葉の途中で、チェスタは割り込んできた。
嘲った声で、チェスタはこんなことを言った。
「こんだけ尽くしてるんだ、ユート君には見返りを要求する権利くらいあると思いませんか?」
続いて、チェスタはユートにこう耳打ちした。
「趣味が大事なら、風紀委員達の命を人質にして生徒会辞めさせろ、って言え」
(よく頭が回るなぁ。
さすが迷探偵)
ゲスい方に機転がきくのは、羨ましい。
ユートは苦笑する。
「さすがに飼い主達の命を人質には出来ねーや」
「お人好し」
自覚はある。
『……わかった』
唐突に、携帯端末の向こうからそんな言葉が届いた。
「はい?」
『たしかに、私からはなにも褒美をあたえていなかった。
良いだろう。
今回の犠牲者を全て救え、そうしたら君はお役御免だ』
「え、マジ?!」
思わず、ユートの声が弾んだ。
アイリからしたら、今までにないユートの反応に少し驚いてしまう。
「っと、すみません。
それ、本当ですか?」
ユートは口調を改めて確認する。
『あぁ、約束する。
今回犠牲になった生徒たちの命を全て救えたならば、委員会役員をやめていい』
ユートの目に、趣味をする時の輝きが宿る。
「了解しました。
じゃあ、本気出して頑張っちゃお!」
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