第6話 渋オジ好き達のお茶会

 その後、陛下は御心を決めてくださらないまま一週間が経ちました。


 元王太子は幽閉状態で、エレイン嬢は何かしら決まるまで地下牢に入れられてるようです。貴族牢でないのは平民だから。

 どこかの庶子かと思っていたのですが地方貴族の愛人の子で実子ではないため籍には入れないものの、保証人として入学させたそうで。学園には平民も入れるのですが学力がそれなりに必要ですし、学費も高いのです。

 今回のことで何か罰を与えられるようですが保証人になると言うことはそういうことですもの。


 大勢の前で婚約破棄騒ぎがあったので夜会もお茶会もお休みしておりましたが、気分転換にってお友達のクラムベリー侯爵令嬢が主催するお茶会にロナウド兄様と参りました。

 同じ年頃のご令嬢とその兄弟がお呼ばれです。


「アルステリア嬢、災難だったな!」

 ちっとも慰める気の無さそうな声が掛かります。お兄様のお友達のスワロー侯爵令息です。私とも幼馴染のようなものですが。

 アホ王子だったのですから私は全然気にしてませんけど、あんなのにフラれたと言うレッテルは嫌ですわね。

「もっと早ければ俺が立候補したのに残念だ」

 軽そうな男はお断りです。根はいい人なのですがどうも口調が軽くていい加減に受け取られがちなのです。

「軽口でも婚約者さまに聞かせられない冗談はおやめになった方がよろしくてよ」

 お兄様も肩をすくめてます。

「堅いなぁ!まぁあんなのから解放されておめでとう!」

と、そばにあったテーブルからシャンパンを渡してくれたので乾杯です。

 奥に主催のお友達が見えたのでこの場はお兄様に任せて向かいました。


「ミカエラさま~ご招待ありがとう」

「アルステリアさま!ようこそいらっしゃいました」

 学園の卒業式ぶりですが、私の好みを知っているミカエラ・クラムベリー侯爵令嬢は笑顔で迎えてくれます。心配の必要がありませんものね!

「リアさま!聞きましてよ?一人だけ渋イケメンをだなんて抜け駆けですわ~」

「まだ何も決まってませんわ。全然なのですもの~」

「リアさまは負ける勝負をなさいませんわ~決まったも同然です~」

 マリア・ヘーゼル伯爵令嬢が人聞きの悪いことを仰る!

 そんなギャンブラーのような生き方してませんってば!!

 お二人は渋好み仲間でお家の勧めで年の近い婚約者がおられますが年齢は仕方ないので将来的に渋くなるように自分好みに育てると言う野望をお持ちですの。


 まぁ普通は年が離れてる婚姻は家の柵や理由ありが多いのでまともな親なら持ってこない縁談なのです。

 クロードやグランマニエ公爵のようなカッコいい渋オジはそもそも売れ残ったりしませんものね、

 もし独り身でいたらとうの昔にハイエナのような女性に群がられて結婚しているでしょう。

 いいお相手なら再婚でも良いと思いますがやはり貴族には後継問題が付き物ですから特に借金や理由もない家の娘を嫁に出す事はそうそうないのでしょう。

 私たちのように年上好きの者としては少々困った問題です。

 親が用意する良縁は10歳上くらいまでだそう。

 年上好きとしてはせめて15歳くらいまで認めてほしいのですが。


 まぁ男性も早めの結婚と早めの後継をと望まれるのでなかなか良い感じの年上の人は残っていませんの。


 私たちは周りの友人たちが少し引いてる中、素敵なオジさま談義をしていましたわ。





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