棚からぼたもち?婚約破棄されたので諦めていた恋を叶えることにしました
紫楼
第1話 婚約破棄はラッキーなのです
本日、卒業式で式の後のパーティに参加予定でしたが王城に召喚されました。家族全員で。
要件は分かっています。腹立たしいことに数時間前に私の卒業式で婚約者である王太子に婚約破棄を言い渡されたので。
家格が同じか以下なら非のある方が出向いてくるべきですが相手側が王家なので呼び出されましたわ。ええ、全く腹立たしいことに。
「アルステリア!お前は可愛げも優しさもない!そんな女と結婚なんぞ受け入れられない!この可愛くて儚げなエレインこそ俺にはふさわしいのだ!!」
お式が終了してパーティ会場に移動する前に呼び止められた私は、少し幼げなふわふわ頭の女性の腰を抱くフォックス王太子に延々と罵倒されまくりました。
私のエスコートをすっぽかしながら何故卒業式に来ているのかと思ったら同じ卒業生のエレイン嬢とやらのエスコートをなさっていたようです。
罵倒を要約すると王太子に媚び諂わないこととエレイン嬢に優しくしないで無視していたから冷酷な女だそうです。
クラスも違う家格も下でお茶会で会ったこともないご令嬢相手に何をしろと言うのか。
王太子妃教育もあって忙しくしていたのに家の付き合いも無くお友達でもない相手に無視も何もないと思うのです。
ところでどちらのエレイン嬢でしたか?
国内の有力貴族の家名とご当主ご婦人後継者とお付き合いのあるご令嬢のご家族は一通り覚えていますがエレイン嬢のお名前は思い当たりません。
王太子のお遊びが盛んなことは存じておりましたし、興味なさすぎて放置しすぎましたわ。結婚するまでは本当にどうでも良かったので!!
今までの行動も併せて迎えもエスコートもすっぽかされることも想定内だったので、本日も長兄ロナウドがフォローしてくれていますが王太子のご演説中に目線を外すことはできませんので見上げれませんが私の隣でおそらく青筋を立てつつ無表情を貫いているはずです。
王太子が罵倒を一旦やめたところで
「婚約破棄、ありがたく承りますわ」
おそらく人生で一番清々しく和かに幸せそうな笑顔が出たことでしょう。
ポカンとした王太子と状況にイマイチ乗れていないご令嬢に軽く礼をして兄の袖を引っ張って移動しました。
私としては卒業パーティーに参加して結婚したり領地に戻るお友達たちと学生としての最後の楽しみを満喫したかったのですが、さすがに微妙な空気が漂っていたのと兄が家族に報告すべきだと言うので帰宅したら、笑顔でブチキレている父とホホホと扇子をミチミチさせている母と無の表情で何かドス黒いオーラを垂れ流している兄とで馬車に乗り、「滅せよ」とつぶやく次兄に「処す処す」と扇子をバサバサしている妹に見送られてその
まま王城に連れて行かれてしまったのです。
婚約破棄はウェルカムなんだけどな~と何だか家族の雰囲気に震えてしまう私なのです。
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