ワールドライター

少し眠っていた。

微睡みの残る体を起こすと床の上に原稿用紙とそこから零れ落ちた言葉が床を跳ねて転がる。

拾わなくても自分で戻るから大丈夫。

ずり落ちていた上着を手繰り寄せつつ机の上のマグカップを持ち、とうの昔に冷たくなったコーヒーを啜る。

何処まで書いていたっけ。

何処まで考えていたっけ。

思い出しながら椅子に座りペンを持つ。

世界を造り動かすのも楽ではない。

でも、楽しいから続いている。

ああそうだ、妖精の王様と魔法使いが出会うシーンだ。

記憶の鍵を集める魔法使いが最初の鍵を手に入れる大事なシーン。

自分が一番楽しみにしていた所だから尚更気合いが入る。

原稿用紙と言葉で埋め尽くされた部屋の中、ただひたすらペンを走らせ世界を描いた。


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