空を行く人

「ああ、しまった。電車乗り遅れちゃった」

時計を見て困った声を上げた友人へ送ろうかと声をかける。

しかし友人は大丈夫と言いながら窓を開け放した。

「窓閉めるのだけお願いね」

次は流星群の日に、と言い残して窓の縁を蹴って空へ飛んだ。

瞬間、友人の背に大きな翼が生えて勢いよく羽ばたいた。

深い青色の羽根を散らし友人は去って行った。

窓辺に落ちた羽根の一枚は本の栞にと拝借した。

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