『正しい紙の切り方  式札編』の感想文

猫又大統領

『正しい紙の切り方  式札編』

僕がこの推薦図書を読もうと思った理由は、町に頻発する霊障によって異常現象注意報が発令され、未成年者は自宅待機が増えました。

 ですが、自宅で安全に過ごすための情報が間違って広まったり、そもそも情報を知らないことがあるのではないだろうかと考えたからです。そのきっかけは僕自身が自宅に現れた霊障によって間接的ではありますが被害に遭ったことです。

 その時、正しい式札の切りかたなどが浸透していなことを身をもって感じました。

 この本の内容は当たり前に知ってる知識を省くことなく、基礎から教えてくれます。

 たとえば、建物は霊の侵入経路は絞られるので対策が容易で、強力なものほど家の周りの塩や護符などの影響で侵入できなのですが、力のない霊には効果が薄くて家の中まで稀にやってくる。という話もきちんと説明を聞いたことはありませんでした。

 家に侵入してきた霊障に対しては国のホームページから式札の印刷ができ、それを霊障投げつけたり、自分の周りを囲むように配置をして結界をつくったりします。霊に対応できる機関へ連絡しても場合によっては三十分以上待たされるので、式札を事前に印刷をしておいて保管することが推奨されていました。

 肝心の切りかたは、式札が印刷された用紙を切り取り線に沿って丁寧に切るというものでした。これを読んだかたはこう思うでしょう。当たり前だろう。

 しかし、現実は違います。事前に式札を準備をしていた立派な人が僕の家いました。それは2個上の姉です。

 僕がリビングにいると紫色をした煙のような霊障の気づいて、2階にいる姉へ1階から大声で報告しました。すると、何故か姉は巫女のコスプレで右手には式札、左手には口の開いた塩の袋を持ってやってきました。

 この本の質問コーナーに記載されていたように塩は専門の知識のいるもので、素人が扱ってもそれはただの調味料だそうです。

 姉は霊障を視界に入れると、僕が視界から消えたかのように塩の袋をこちらに投げてきました。僕は塩を全身で受け止めて目にも入ってしまい四つん這いになって、記憶を頼りにお風呂場へ向かい目を洗いました。

 長めに洗いたかったのですが姉の悲鳴が聞こえてきたので急いでリビングへ戻ると、巫女が天井に張り付いていました。姉は僕に対して色々と指示を出してきました。その指示通りに僕は姉の張り付いている真下で仰向けになりました。すると姉は大きく深呼吸を一度すると上から落ちてきました。

 僕は全身に強い衝撃を受け、状況がまるで飲み込めませんでした。

 家に入ってくるような霊障は元から弱いので人に対して力を使うとすぐに消えてしまいます。天井に張り付いた姉は、張り付ける力が徐々に弱くなっていくのを感じて僕を呼び、まるでクッションのようにしたのです。

 それから、少し落ち着きを取り戻した僕はそばに落ちていた姉の投げた式札をよく見ると、1枚の式札を3つに切り、ハートマーク型の形にしてありました。塩か、それともハートマークが弱い霊障を刺激したのは間違いないように思います。間違った方法は逆効果だと赤文字で最初と最後のページに書かれていました。よほど大事なことなんだと思います。

 この一冊を読めば肉親をクッション代わりに使うよな霊障さえも行わないような非道もおきません。霊障を発見しても巫女のコスプレをするまえに、この本を読んで欲しいと思います。

 

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