煙

第1話

ふーでもない

ふぁーでもない

ふしゅーでもない

吸ったスティックを

すふぁーでもないけど吹き出している

吸うとふわぁでもないけど身体から力がすわぁでもないけどいい意味でだるくなる

厳密には水蒸気ベイパーとも言う

あの子の事を考えながら吐き出していく

吐き出した気持ちはどこか嬉しくて

でもどこか臆病で

どこかずるい

でも嘘偽りなく楽しくて好きなのだ

嫌な事は煙に巻きたい

誰かを思ってるなんて知っている

でも応援している

キラキラな世界は大切

でも僕だって応援されたい

紡ぐ言葉をたくさんもらいたい

闇雲に幸せを求めて生きてしまってるんだろ

どこよりも誰よりも求めてしまってる

夜空の冷たさがふっと身体に募ったなら

あの子のことで心を暖めてみる

あの子がもし手を差し伸べてくれるなら

どこにでもいるこんな男が

煙なんてなくても身体が軽くなるとか

そんなこと考えて1人部屋で煙を纏う