トアル世界のシュウエンで〜eternal end world〜
@nemow93
第1話 「はじまり」
「さぁ、実験を始めよう」
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「なんなんです?ここは?」
「ん…まぁ…トアル世界だよ」
「今から何するんです?」
「まぁ…消滅かな」
「え?」
「だから、この世界を消滅させるのさ。いらなくなったし…」
「じゃあ、私を連れてきた理由は?」
「理由?実験するためさ」
「ん?何言ってるんですか?」
「君には、この実験に協力してもらう」
「え?」
「安心してくれ、君の身は保証する」
「待って!なんで私を?」
「なんでって…博士からの命令だからなぁ。詳しいことは、僕にもわからない」
そういうと車に私を乗せて走り出す。
「えー…君…名前は?」
「カザネといいます。」
そう言うと男は、再び前を向く。
「本当に私の身は保証できますか?」
「大丈夫だよ。僕にも何もわからないけど、君の身が最優先だ。それは、博士も同じはずだからね…。それに、そのことがルールにも記載されてある。ルールは、破らない限りずっとルールさ」
「何を言ってるかよくわかりませんが、私が大丈夫ならそれで少し安心できます」
ここには何もない。
真っ白な世界で、ただ一つの塔だけが、遠くに見える。
「あの塔は?」
「あれが、実験施設らしい。僕も詳しいことは知らないけどね」
「へー…実験って何するんだろう?」
「まぁ…マニュアルには君の安全を保証する以外何も書かれていないから、僕も分からないね」
「あなたには思いやりがありますね」
「ん?」
「ふっ…なんでもないですよ。行きましょう」
前に前に車を走らせる。
だんだん塔が近づいてきた。
そして、塔の入口まで来た。
男が語りかける。
「あなたはここに来る前のことを覚えていますか?」
「あぁ…そういえば覚えてないかも…」
「安心しました。まぁ…覚えていたとしても同じ方法を選ぶつもりでしたが…」
「ん?」
「このまま行けば必ずあなたは殺されます」
「え!?」
「そして、私は君の身は保証する…と言いましたね?つまり…」
「つまり?」
「逃げてください」
「え?」
「逃げないと殺されますよ?」
「で…でも…君が…」
「私は、トアル人間のクローンです。だから、壊れてもまた作り直されます。まぁ、元々案内役としてプログラミングされているのですが、今回の博士は失敗したようです。」
「ふっ…」
「な…何を笑っているのですか?早く逃げて!」
「バカだな…君は…」
向こうの方から人が歩いてきた。
「おぉ…連れてきてくれたか…。案内役くん」
「くっ…」
「ん?実験者はどうした?」
「ふっ…哀れにも途中で力尽きて死んでしまいました」
「ふっ…面白い冗談だね…」
「くっ…」
「君…いらない…」
博士が、ポケットからボタンを取り出す。
「それは…」
「君の破壊装置だよ。どうやら、今回のは失敗作らしい…」
博士が、ボタンを押す。
だが、いつまでたっても破壊される様子がない。
「ふっ…バカだな…。君ってやつは本当に…」
「な…何を…」
「最初っからクローンなんかじゃなかったくせに…」
案内役が口を開く。
「ふっ…バレたね。逃げてって言いましたよね?」
「バカ言うなよ!一緒に逃げるのさ。どこかに辿り着くまで」
「どういうことだ!なぜだ!なぜ、クローン元の人間がここにいる!?」
「じゃ…行こうか…」
「行きましょう!」
二人は、走って車に乗り込む。
エンジンをかける。
カザネは、ポケットからハンドガンを取り出す。
「え…なんですか?それ?」
「決まってるじゃないか…銃さ」
「なんでそんなものを持っているんですか?睡眠薬を飲まされてここまで転送されてきたというのに…」
「さぁね…」
「ますます謎が深まりますね…あなたという人は」
後ろから砲弾のようなものが飛んでくる。
それを、避ける。
「さぁ…落とそうかな」
カザネは、銃を構えると発射した。
どうやら、発射したのは爆散弾で塔はあっという間に崩れ落ちた。
「美しいですね」
「そうだね」
「あなたが」
「滅相もないよ」
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