　「くっそー！にいちゃんに聞いてたのにはめられた！」

　「嵌められたね」

　海斗と空斗は残念がる。

　しかし交通事故死ならまだしも、銀杏をむちゃ喰いして嘔吐痙攣して死にはしなかったものの醜態を、それも大好きなママが来て見ているのにやらかしたのはまったくもって黒歴史だった。

　「にいちゃんのいう通り本当に死んだな、社会的にとか色んな意味で」

　注釈

　銀杏には自然毒があり、幼児が一度に大量摂取すると中毒症状を起こし、嘔吐や全身の痙攣症状を引き起こす。

　この毒は熱で消えることはなく加熱しても中毒は免れない。

　大人でもほどほどの量に抑えることが肝要である。

　中毒物質メチルピリドキシンが原因とされています。

　特に５歳以下の幼児では少量でも注意が必要である。

　お昼休みのお弁当の時間、１２０人の園児は死ぬ思いをしたことなどケロリと忘れてお父さんお母さんと一緒にお昼ご飯を食べる。

　さすがにプチトマトやピーナッツ、餅で窒息死した園児はトラウマになってしばらく食べられないだろう。

　この「デスゲーム」については賛否両論あった。

　「悪い子はいねがー！」のなまはげと同じだと言う意見もあれば、園児の自主性や好奇心を削ぐのでは？という意見もあった。

　しかし、このデスゲームシミュレーションを導入して３年、死亡事故が全国で一桁になったことも事実、特に完全に自由に危険行為をさせることで本人がもっている一番危険な性格、因子を洗い出すことができることの有用性は認めざるを得ない。

　個人の性格や特性か引き寄せる危険を未然に防止できるメリットは大きいと言えるだろう。

　午後からは第二ゲームである。

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