第43話 穂乃香視点

「れんさん?」

 あかいみずたまりに『  』さんがたおれてる。

「漣! しっかりしろ!」

「クソっ……左目が、完全に……」

「駄目だ血が止まらねぇ!! おい治癒かけてんのか!?」

「全開でかけてるわよ! でも、彼から漏れ出てる魔力が邪魔するのよ! うまく作用しないっ!」

「穂乃香ならいけんじゃねぇのか!?」

「馬鹿ッ! 今のあの子じゃ無理だ! 下手に魔力使わせる方が危ねぇよ!」

「くそっ! 少しずつでもいいからかけ続けろ! おい薬も全部持ってこい! 絶対に死なすな!」

 『  』さんのまわりのひとがさけんでる。

「漣……おきて。ねぇれん、がんばって……死んじゃいやだよぉ……ぐずっ、れん――」

「ヴォッフっ! ヴォッフ……くう~ん」

 ぽんちゃんとあおくんがないてる。

 『  』さんをひっしにはげましてる。

「奏! 部屋の魔力はどうだ!?」

「……だめです……。全く反応しません……。彼の魔力が龍脈内に満ちてしまってる。使い物にならない……私のせき――」

「後にしろっ!! んなこと今はどうでもいいんだよ! 責任を果たしたいならできることを探せ!!」

「本部の姉ちゃん! あんたのユニコーン呼んで何とかしろよ! レンを助けろよ!」

「ユニコーンに治癒の力はありませんよ! 呼んだところで役に――」

「「「使えねぇおっぱいだな!!」」」

「!!」

「大丈夫だ! まだ呼吸も心臓も止まってねぇ! 諦めんな! 絶対助かる! ……よしっ、止血剤打つぞ!」


 『  』さん、『  』さん、 んさ ん、 れ、ん

「れんさん?」

「穂乃香! 大丈夫だから! しっかりして! 漣さんの手握ってあげて」

「あっ」

 れんのてが ぬれてる。べっとり。てつくさい。あかい 赤 血で からだじゅう血で 血血血血血血血血血 でいっぱい 死んじゃう? 死ぬ わたし のせいで

「あ、あ、あああああああああああああ!!!」

「穂乃香っ! どうしたの!?」

「どうした!? 穂乃香?」

「穂乃香さん落ち着いて! 気をしっかり持って! 息を――」

「落ちついて! 大丈夫だから!」

「ああああああいやぁああああああ!!!!!」

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