幕間 休日の過ごし方2続き らんじぇり~ 破

「……っ!!」

 どこを見ても、色鮮やかなパンツ……、ブラジャー……。

 なんでこんな場所に連れてきたんだほのかぁ……。どこ見ればいいの? 安全地帯ある? 変態さんに間違われない? 大丈夫?? 怖い人来るんじゃない?


 未知の空間に怯えて、ガクブルしていると──

「大丈夫ですよ漣さん。なにもコワイことありませんから、ね?」

 穂乃香様ほのしゃまがオイラを励ましてくれりゅ。背中をさすってくれる。あぁ~少し落ち着いてきたかも……。

 穂乃香様はやっぱりいい子だ。


 でも穂乃香様……、オイラの腕がっちり組んだまま離してくれない。これじゃ逃げられない……。

 ここに連れてきた理由って──嫌だ! 考えたくない!! 誰か! 誰か!! 助けてくれぇ!!! 兄ちゃんっ!~~怖いよ~~!! たしけてぇっ!


「あらぁ~! ほのちゃんと、漣ちゃんじゃない!! こんなところで奇遇ねぇ♪ 二人でお買い物?」(フロイライン・じん

「…………」(死んだ顔)

 知りたくなかった……。刃さん。ここにいるってことは──嫌! 駄目だ!! 刃さんがブラジャー着けてたっていいじゃないか! なにもオカシクナイ!! 

 女物のパンツ装備したっていいじゃないか!! 刃さんの自由だっ!!!!  

 刃さんはいい人だ。お世話にもなっている。それでいいじゃないか!! 

 俺は、刃さんを色眼鏡で見たりしないっ! 彼、いや! 彼女は尊敬できる人だ!

 だから刃さんっ!! 俺を助けてくれっ!! 縋るような目で彼女を見る。


「?」(不思議そうな顔)

「はい! 漣さんに私の下着選んでもらおうと思って♪ えへへ~」(照れ)

「…………」(ゾンビ)

 な~にを言っとるだ~? 下着を? 選んでもらう? だれに? わし??

 いやだ~~! 理解したくないっ! 

 僕には無理だよっ! 助けて刃さん!! 穂乃香を説得して! このクソ童貞には無理だって言ってやって!! ハリーハリー!

「………!! ほのちゃん……」

 っは! 俺の思いが通じたのか! 刃さん!!

「? なんでしょう?」

「いいわねぇ~~♪ 私も素敵な人に自分の下着選んでもらいたいわ~。 もうっ妬けちゃうわねっ!」(きゃぴきゃぴ♪)

「えへへ~♪ 素敵なの選んでもらいますね♪」(きゃぴきゃぴ♪)


ふたりできゃぴきゃぴ♪

 ……裏切ったな……俺の唯一の希望を裏切ったなぁ!! 刃!!



「漣ちゃん! ほのちゃんに素敵な下着選んであげるのよ!!」

「……ぁぃ」(ミイラ)

「あ~んもう!! 世話が焼けるわね!! ほのちゃん、ちょっと貸してもらってい~い?」

「? いいですよ。きちんと返してくれるなら♪」(にっこり)

「ンフフ♪ いいわねぇ~ほのちゃん♪ 大丈夫直ぐに済むわ♪」

 穂乃香から少し離れた隅っこに連行される……。ここにも下着がたくしゃん……。


「おい漣。しっかりせんかい! 乙女に恥かかすんじゃねぇぞ!」(めっちゃドスの効いた声)

「刃さん……。でも、俺……女性の下着なんて分かんないですよ。ましてや穂乃香が着ける── 」

 ドスの効いた声に遮られる。

「じゃかぁしいわい!! 何を童貞みたいなことゆうとるんじゃ!! おとこなら根性みせんかい!! 自分の好みの下着を選べばええんじゃ!! 自分の色に染めるゆう気概きがいはないんか!! それでも玉ぁついとるんか!? あぁん!?」

 ……こわぁ。刃さんめっちゃ怖いよ……。後、俺は童貞だよ。(真顔)

 だけど──

「分かったよ。オレ! やってみるよ刃さん!! 気概だね!!」

「んふ♪ いい顔になったわね♪」

*ここまでめっちゃ小声。


 そうだ!! 俺はパパなんだ! パパなら娘と一緒にランジェリーショップを訪れ、下着を選ぶこともあるかも……かも、しれない……。いや──ねぇだろ。馬鹿かよ。(暗示失敗!)


「おかえりなさい漣さん♪(ぎゅ)」(にっこり)

 帰ってくるなり、一瞬でホールドを極められる。(がっちり!)

「うん……ただいま」                

「じゃあねぇ~二人とも。私も自分の下着選びに戻るわぁ~」

「ありがとうございました~」

「ありっざしたっ!」


 穂乃香は手を振っていたが、俺はきっちり頭を下げた。これはケジメだ……。

「それじゃあ漣さん♪ 私に素敵な下着選んでくださいね♪」

「あぁ! マカセロ!! オレ、ガンバル!」

「わぁ! ありがとうございます♪」

「それじゃあ漣さん──」

 彼女の顔が、近づいてくる。

「私に どんな 下着♪ 着けて欲しいですかぁ?」(耳元囁き)

「……」

 最近分かった……。穂乃香はたまにSっ気が出る。



「あれなんてどうです?」

「あれは下着なんデスカ?? 紐に見えるんですが……」

「これなんかどうです?」


「……。これはもう、隠れてないよ……」

「漣さん! これっ凄いです!!」

「……、透けとる」(ポカーン)

「……。買ってみようかな?」

「!! ほっ! ほのかには! 別のやつが似合うよっ!!」

 俺は穂乃香のすすめてくる奇抜きばつなデザインにくらくらしていたが──

 彼女は終始、楽しそうに笑っていた。

 彼女の笑った顔を見ているうちに、俺の緊張も少しだけど ほぐれた ような気がする。

「その、穂乃香の雰囲気にはあんまり派手なものじゃなくて……、その 落ち着いた感じのやつがいいと思うんだけど……」

「なるほど! では、あっちの方へ行ってみましょう♪」



「あらっこんな場所で奇遇ですね。穂乃香さん漣君」

かなでさん! こんにちは! 奏さんもこのお店のものを使ってらっしゃるんですか?」

「コンニチハ…」(骸骨)

「ふふっ。こんにちは。ええ、穂乃香さん。このお店は種類も豊富で素敵なものが多いんです。お二人は一緒にお買い物中ですか?」

「はい! 漣さんに選んでもらってるんです。ねぇ~漣さん♪」

「ソウデス。イッショニ オカイモノ シテマス。ボク、エランデマス」

「あらあら。本当に仲良しさんですね」




*後書き

申し訳ないです。長引いてしまった……。

筆が乗ってしまったのです……。


もし、読んでいる方の中で、「ランジェリーショップデート」などという偉業を成し

遂げられた英雄がおられたら、コメントいただけないでしょうか?

学術的興味がありまして……。よろしくお願いいたします。

読んでいただき、ありがとうございます。

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