第9話 ただいま!!
家に戻る前にポンタの回収を行わなければならない。
俺の不安定な心情を察し来てくれたアオと、恐らくはアオの監視の目がないのをいいことに羽目を外しまくっているはずの
思わないことがないわけではないが、種族的に仕方ない。ポンタは刹那的だから……。
「Zzzz~」
案の定、ポンタはお腹一杯になってすやすやモード。とりあえずたたき起こす――のは可愛そうなので、ポンタのモフモフを堪能したがって、そわそわしてる文月さんにお任せしちゃう。そして、文月さんのことをポンタに伝えるのはアオに任せた。
ややこしいな……。
俺は、ポンタを甘やかしてくれた人たちにお礼を言って回る。貰ってばかりではまずいので、いくらか飲食物ををおごらせてもらう。持論だが、金銭関係はなぁなぁなのが一番危ない。いつ豹変するか分らんから……。 「そういえばあの時――」とか、急に言ってくるやつマジで怖い。俺は絶対に忘れんぞ
お礼も終わり、文月さんとアオもうまくポンタを連れてきてくれた。『じゃぁ、帰んべ~っ』て時に、面倒な奴らに絡まれてしまった……。
「待てよっ、れ~ん。俺たちへのあい、ヒック!! さつが、まだじゃねぇかよぉ~」*タツ
「そうだぜぃ、ウィック!! 寂しいじゃねぇか!! うっ……よう~」*ガス
「れ~ん。俺はポンタとも、あそんでやったんだぜぃ~。へへへへっ」*みっちゃん
うげ~。
「……お前ら、完全に出来上がってるから、近づきたくないんだよ……。でも、みっちゃんはサンキュー。今度何か奢るわ」
「期待してるぜ~」みっちゃん
んっ? 文月さんが俺の袖をちょいちょい引っ張ってる? なんぞ?
「蓮さんのお友達ですか?」
「……まぁ、一応」
「なら私、ご挨拶したいです!!」
「……いや、また今度にしよう。こいつらもう出来あがってるから――」
「えっ、でも……」
まごまごしていると――
「そうだぜぃ~お嬢ちゃん。。俺たちはなぁ~うっp……、マブダチなんだ~」
一番ヤバそうな状態のガスがふらふらと近づいてくる。
やべぇ、一刻の猶予もない……。
アオとポンタに思念を飛ばし、文月さんと先に酒場を出ているように、指示を出す。文月さんは、不思議そうにアオとポンタに連れられて行く。
「ガスやめとけ……。そんな状態で動くんじゃない! 死にたいのか?」
「へへっ♪ 俺がこんなとこで死ぬわっけ、……うp……。ねぇだろう⤵」
限界だ。いつ、暴発してもおかしくない。
慎重に対処しなければ……。相手を刺激しないよう、極少量の魔力を練る。
「ナイト気取りかぁレ~ン、悲しいぜぇおれぁよぉうっp……匂い立つなぁ。噎せ返るような裏切りの臭いだ……。なぁ、ヒック……。俺に教えてくれよ――なんでお前が、うっぶゅ……、綺麗な女を連れいているかをよおろろろろろろろろろげぇ――」
間一髪、大きめの氷のバケツがガスの前に展開されている。
ウエイトレスさんに感謝された。
ガスまた今度な……。
家に着いた頃には午後九時を回っていた。
「ただいま~っと」
「ヴォッフ!」
「ただいま~」
いつもの、漣、ポンタ、アオの挨拶が響く。
そこに、すこし躊躇いがちな挨拶が加わわる。
「えへへっ、ただいま~」
家に響く、ただいまの挨拶が一つ増える。
なんだかうまく言えないが――無性に嬉しい。
なんでだろう? とても、満たされた気持ちになる……。
だから、一緒に帰ってきたのに言うのも変かなと思ったが――つい口に出してしまう。
「おかえり」
「!!っ~♪ はいっ、ただいまっ!!」
文月さんは快活な笑顔と共に、元気一杯な挨拶を返してくれた――
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