第1話 故郷を去った日
そして十年後、2032年。
俺は現在――クランのメンバーに――邪険に扱われています。
とてもつらいです。(泣き)
良く晴れた日。澄み渡る青い空、絶好の討伐日和。
モンゴリアンデスワーム(ミミズ変異種)の討伐依頼。クラン所属の若手メンバーに同行し、いざ接敵したときだった――
「漣さんこっちこないでください」
「えっ? なっなんでっ? えっ、遠慮しなくてもいいよ。俺も手伝う――」
「邪魔なんで」
「………ぁぃ」
若手が華麗に狩って、盛り上がっている
おまけにすげぇ臭いし、なんかねちょねちょしてた……。
討伐依頼の完了報告を済ませた帰り道。俺は打ち上げを断り、一人家路につく。
黒のコートに刀を
「くぅん?」傍らの狼が心配げに鳴き、顔を摺り寄せてきた。
顔を優しく撫でながら、今日の出来事について思いを巡らせる。
俺のあいでんてぃてぃーがクライシスされた日……。
俺のプライドやら尊厳は、ボロボロだぜ……。
確かに俺は、非常に強い魔力性質・陰SSS+の持ち主。不用意に魔力をまき散らすようなことがあれば、他者の魔力を妨害し、魔術行使を阻害してしまう。
確かに不安になる気持ちも分かるけど…。
「でも……そんなへましないよオイラ……ぐずんっ」
こらえきれない涙を、心配げな表情のポンタ(3~4メートル程のでかい狼)が舐めてくれる。契約してる故、ポンタが俺を労わってくれているのが伝わる。なんて優しい子なんだろう。それに、もふもふだからもう最強だ。ありがとうポンタ。
「くぅんくぅん」(げんきだして?)
「ぐふぅっ!!」
うごぉ~、でもぉ辛いときに優しくされると―― 余計に泣けてきた……。
どこからともなく現れたぬいぐるみが、俺のコートに体を突っ込み、小さなおててでタオルを差し出してくれた。
*コートに魔力加工が施されており、非常に多くのものを収納できる。
「漣は本気出すと、みんなの邪魔になっちゃうからねぇ。瞬にぃとか、漣パパなら話は別だけど。妙な気を使いながら立ち回られるのは、お気に召さなかったのかもね~」
非常に的確な指摘をくれる相棒……。アオは賢いなぁ。
「アオ、タオルありがと。そやなぁ。でも、邪魔……かぁ~」
口に出すと本当に胸に来る言葉だ。
オレ、一応かなりの先輩だからね。普通なら言えないよね……。本当に、心の底から邪魔に思ってたんじゃないだろうか……。でも、まさか、そんな……。
ま、まぁ、切り替えていこう!!
「ぐっすり寝れば、すっきりすんだろ!! きっと大丈夫さ!」
「わっふ!」
「そだね~」
翌日の討伐任務。(女郎蜘蛛変異種)
「漣さんは――そのっ……見ててください!」
「…………うん」
討伐完了後――
「漣さんどうでした!俺らの立ち回り!!」
「………うん、良かったよ。連携とれてたし、毒まき散らしてた時も冷静に距離とって立ち回ってたのも良かったと思う。それに、一番厄介なクモの糸に常に注意して動いてたから、安心して見ていられたょ……」
「あざざますっ!!」
次の次の日
「漣さんは、危なくなったら助けてください!!」
「……おう」
翌週
「漣さんは、不測の事態に備えてください。」
「…………はぃ」
言葉変えただけで前と一緒じゃねぇか……。
翌月
「漣さんはッ、ちょ!?」
「うぉぉぉぉぉっ!! 俺にっまぁかせろぉぉっっ!!!!エンカウンター!!!!!! 目標を駆逐するぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」
おこられた……。
変わらない毎日。
誰かと依頼に出れば、いらないもの扱い。
なによっ! あたしが何をしたっていうのよっ! もうっ!失礼しちゃうわっ!! ぷんぷん!!
……うへへっ。あひゃひゃひゃひゃっ!! ぐすんっ。
某日某所
「漣にぃ~」
「何用だ妹よ」
「邪魔──── 。」
「あっ、あっ! ……あうぁ~~……。うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
俺は──── 狩人連盟新潟支部中規模クラン【ランタン】を抜け、故郷を出た。
ポンタとアオは、ついてきてくれた。契約破棄は――されなかった。
「ホント、ありがとね……」
「ウォン!!」(当然!!)
「ボクは漣のこと大好きだからずっと一緒だよぉ~」
*後書き
目を通していただきありがとうございます。
プロローグからいきなり、十年飛ばしたので――?? 「わけわかんねぇよ……」と思われた方、申し訳ありません。構想はあるんですが……。「人類が魔力に触れて成長していく様」、「モンスターへの恐怖」、「幻想種とは何ぞや??なんで助けてくれるん??契約ってなんぞ??」
書こうとすると説明が増え、読むのが怠くなりそうなのでカットしました。
徐々に、作中で明らかにしていく予定です。
読んでくださり誠にありがとうございます。
「ワォ~~ン!」(読んでくれてありがとう!!)
「応援もおねがします~」ペコリ(青いぬいぐるみ)
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