第5話 追加オーダー
「はいはいはいはい。イマジナリーアームズの皆さぁーん、お疲れ様でしたー」
エイトオーたち以外、誰もいないはずの社長室に突如響く拍手と合成音声。声のした方をみると、いつのまにかサンタのお面を被ったスーツ姿の男がいるではないか。
「ち、モミの木か。現れるのが遅かったんじゃないか?」
エイトオーにモミの木と呼ばれたこの男。当然、本名ではない。
財団所属のサンタが裏の仕事を終えた際、必要があれば登場する部署の名称だ。
目撃情報の揉み消しに記憶の
これまでも何人かエイトオーの前に姿を見せたことがあるが、同じ財団に所属しているというのに顔も年齢も、実のところ性別すらも分からない。
「いやー、エイトオーさんがお怒りでしたので、つい二の足を踏んでしまいまして」
怯えた振りをしているが、声も変えられ表情も見えない状況では、彼の本意は彼にしか分からないだろう。
「は、嘘つけよ。……で、こいつはどうすんだ?」
「それはこちらで処理しますのでご安心下さい」
「
「ご興味がおありで?」
「いいや、まっぴらご免だね。聞きたくもない」
そう言ってエイトオーが首を傾げながら大袈裟に身震いすると、緑スーツはわざとらしく思い出したように話し始める。
「それは残念。あ、そうそう。新しい情報が入ったみたいですよ。帰りに寄ってみては?」
「け、お前からなのは気に入らないが、言う通りにしてやるよ」
「おやおや、これは随分と嫌われてしまいましたねえ」
肩を
「……親父、いけ好かねえ野郎でしたね」
「気にすんな。あれでも俺たちのために働いてくれてるんだ。そんなことより、俺たちも撤収だ。チャーリーで呑むぞ!」
「たくさん吞んでいいっスか?」
「おう、呑め呑め、好きなだけ吞め」
「ヒャッハー!」
* * *
「お帰りなさい、イマジナリーアームズ。早速ですが、次のオーダーです」
チャーリーの店内にはエイトオーたちの他は誰もおらず、マスターは遠慮なく裏の名前で話しかけるも、休息が取れると思っていた矢先のオーダーには憎まれ口も出ようというもの。
「おいおい、終わらせて帰って来たばかりだってのによ。相変わらず人使いが荒いもんだ」
そんな声もさらりと受け流してマスターが口の奥からカチカチと二回音を立てれば、いつも通りエントツに情報が表示され、否応もなくエイトオーの目に新しいオーダーとやらが飛び込んできてしまう。
『
【オーダー】
★子供の行方不明事件について有力な情報を入手。
夢遊病のように出歩き、両親に二度連れ戻された子供の事例が報告された。
当該、子供の家は……
』
「こいつは……感心しないな」
エイトオーがぼそりと呟くがマスターは聞こえぬふり。あくまでもエイトオーの独り言、そういうことなのだ。
「だが、面白くはなってきた。マスター、バーボンを頼む。いつものだ」
エイトオーはニヤリと
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