薄明のハイドロレイダー

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　コズミナルエネルギー。

　凄く、怖かった。

　毎日いろんな新しい力が生まれて、飲み込まれそうになる。

　ハイドロレイダーの水素のエネルギーは、凄く綺麗だ。

　不謹慎にも見惚れてしまうほど。

　コズミナルエンペラーの力は強大過ぎて、これが正義なのか、一粒の欺瞞が湧いてしまう。

　そこに至る日々の積み重ねや、HyLA（ハイラ）のスタッフの人たちの日々の頑張りが分かってる。

　何より、宗（そう）ちゃんをアタシなりに見て来た。

　けどこの黒い胸騒ぎはなんだろう……

　開発は、宗（そう）ちゃんとライさん（でいいと言っていた。関野（せきの）艦長と呼ばれるより、自分には合ってるとかなんとか）の二人が中心に指揮したらしい。

　諸刃の剣……そんな言葉が浮かぶ。

　あの強大な闇の力は、味方なのか、それとも……

「ごめん、幸子（さちこ）、アタシちょっと出てくる」

「……いーケド、何？」

「いやちょっと、宗（そう）ちゃんが心配っていうか」

「っそ☆いーケド先に寝てるよッと」

　幸子（さちこ）はくるんとハンモックの遠心力で華麗に身体を回転させて、ハンモックの中のふかふかのクッションの隙間に潜り込んだ。

「寒いね、もう冬かも」

　月基地は、日本と同じ季節を投影していた。

「確かに。毛布ちゃんとかけなよ？幸子（さちこ）」

「ミカもね。半纏（はんてん）来てったほーがいーよ〜」