波の花……――リメンバーフレンズ

409

雨沢あまさわ、こちらに帰還だ」


 数々の疑問符を造り出して、関野せきの艦長が静かに言った。


「ライさん、フィンヨンは捨てるんですか」


「心配するな。あとでサルベージする」


「俺が持ってますけど」


「キュロス、君はおとりだ」


「囮!?」


「いいか、キュロス、ドルフィン、機体が揃うまで耐えてくれ」


「耐えるってどういうことですか!?」


「避けて欲しいってことだ」


 サブローの声に安堵する。


「スターノエル、早急に出撃」


 母艦のブリッジの緊張感がこちらまで伝わる。


小松こまつ雨沢あまさわ……来たか。これからエンペラーに乗る」


「指揮はどうしますか!?」


雨沢あまさわ、弾き振りだ。出来るな?俺がサポートする」


「……わかりました。リイヤ、ドルフィン、迎撃はしなくていい。左右に分かれて……避けろ!」


「やってる!!!」


 物凄い重力にジュンの声が重なる!


「ちょっ嘘だろ!!!」


 リイヤのちょっと楽し気な声に、危機感が薄まるけど忘れられた筈の珊瑚は、別の生き物のように枝を伸ばしアタシたちに迫ってきた!


あね!操縦管!」


「ごめん!」


 突然の襲撃に、頭が追い付かない……


 さっきまで青い海を心地よく進んでいたのに……!


「何度も覆るね」


 弟が呟いたのが聞こえた。


「でも!なんども切り抜けてきた!」


 鼓動がシンクロする――






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