407

「な……に……アレ……」


 目標がリバティストームレーザーの射程に入った途端、海が揺れた。


 一直線に目指した真珠。


 それは突如、大海の要塞のように成長した白い珊瑚の牢獄に囚われて、遥か天空からアタシたちを見下ろしている。


「目測で、海抜およそ600メートルだ」


 通信機からそうちゃんの声が入る。


「なんか……かっこよかったけど」


 築かれた要塞を見上げてリイヤがそう言ったけど、そんな場合じゃない!


「みんな、止まってほしい……あれは、あれ自体がディストレスだ」


 サブローの声に思わず言ってしまう。


「あれは化石って言ってたじゃないですか……なんで……」


 サブローも誰かに訊きたいかもしれないのに。


「原因がわからなくてすまない。ただ、星や雲と同様の凄いエネルギーが観測されている」


「守っているのかもしれないわ……彼らにとって大切な真珠を」


「攻撃……しますか?小松こまつさん」


「彼らの目的と攻撃範囲がわからない以上、危険だわ。撤退の準備を……」


「待て……」


 関野せきの艦長の声が震えている気がした。


「アレの目的は分かっている」


「……どういうことですか?」


 通信機が、何者かの妨害を受けているかのように途切れ途切れになって鼓動が跳ねる。


「あれを創ったのは……HyLAハイラだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る