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「ライ、この世に忘れられた景色がいくつあるか知ってるか?」
俺の部屋の窓辺で、
「今日はブルームーンだ。ライの瞳みたいに」
「ブルームーンは青いからブルームーンというわけじゃない。俺もいつも青いわけじゃ……ない」
「そうだね。今日は琥珀の満月だ」
そう言って笑う
忘れられた景色……それは俺の姿のようだ。
誰の瞳にも本当の俺は映らない。
心を偽って
「ひとつもない」
少し甘い、コルクみたいな香ばしい匂いがやって来る。
「ひとつもないんだよ、ライ。そこにある景色はさ、その景色それ自体が自分を記憶してるんだ」
「どういう意味だ」
「意味なんてないよ。ただそうってだけ」
その言葉が俺を救うことは無かったが、
「エリアZ……」
スコッチの氷がカランと鳴る。
「なぁライ。
「実物をか?……無いが……」
「見に行こう、今すぐ」
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