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「エリアZ 忘れられたロスト珊瑚コーラル


 太平洋、ブルーホールから600km。


 かつて島があったその場所には、今はひとつの白い珊瑚がコバルトブルーの海面に顔を覗かせている。


 正確には、白い珊瑚の化石。


 枯れかけて白くなった、古い桜の木のように、白い手を枝のように伸ばしている。


「何で、こんなところに……」


 母艦のブリーフィングルームで、アタシはそうちゃんが映し出したエリアZのライブホログラムをじっと見つめた。


 小学校の頃、歴史の授業で見たエリアZ。


 幼いながらに、その忘れられた景色に寂しさを覚えた。


「綺麗だね」


 シュウジの瞳には希望しか映らない。


 それはアタシたちが見つけ出したはずの真珠だ。


 珊瑚を台座として真珠がコバルトブルーを背景に光っている。


「ここに、行きたかったのかな」


 シュウジが呟いた。


 確かに、このもともとったかのような光景に、郷愁を感じる。


 まるでこの場所を最初から求めていたように。


「そうも見えるな」


 そうちゃんはホログラムを拡大した。


「いつの時点でエリアBから移された……または、自分で移動したのかは現時点で確認が不可能だ。ただ、真珠はここにった」


 アタシたちが母艦内でディストレスと対峙していた時は……


HyLAハイラはディストレスによる移送と見ている」

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