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目が覚めると、いつも自分は何故ここにいるのかと不安になる。
桃源郷に、いつ辿り着けるのか。そんなものなんてないのか。
良く月を見ていたアイツの姿を思い出す。
「ライさん」
いや、そんなことは無いかもしれない。
こいつはまだ若いし、周りからの愛情も集めている。
「バイタル、問題ないようです。どこか痛い場所ありますか?」
「……全部だ」
「お元気そうで」
「情けないな……」
「まぁ、僕に比べたら。初めての搭乗で、30秒で殲滅して帰ってきましたからね」
そのニュースは観ていた。
どん底の気持ちに飛び込んで来た光。
あいつがよく見上げていた、月みたいだと思った。
ベッドから体を起こして、
「何をしてる」
「追ってるんです、真珠の行方をね」
「やはり奪われたか」
「……はい」
「いい。どうせ移したところで、同じことになっていた。むしろエリアBで良かった」
「空間転移も成功しましたしね」
「それは正直、賭けだっただろう」
「僕がいるのに?」
「……むかつく若造だ」
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