薄明のハイドロレイダー

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「どうした、ほっしー」

　はぁぁぁぁぁぁ……とついたため息に、ジュンがこちらを見ている。

「姉（あね）はハートブレイクなのかも」

　シュウジ、余計なこと言わないでもらえますか？

「アタシが一番仲いいと思っていたのに……」

　誰にも聞こえないように呟く。

　幸子（さちこ）の誕生日から数日、連絡はナイ。

　Sea（シー） liberty（リバティ） dolphin（ドルフィン）とリイヤのファントムレイダーは、冷たくなり始めた海の底を目指して、泳いでいた。

　アタシたちのミッションは海の底に沈んだ真珠を確保すること。

　リディアは帰省中のため今回は不参加だ。

　東京湾内に敵（ディストレス）は今はいない。

　だけど、例の黒いモヤの影響で、HyLA（ハイラ）の海中ドローンだけでは調査が難しいらしく、レイダーで直接確保することになったのだ。

　モヤと真珠の因果関係は現在無く、おそらく無事に確保できるだろうという目測だけど、例によってサブローは、危機を感じたらすぐに離脱するようにと指示を加えた。

　アタシのイヤリングにも悪い反応はないし、アタシは自分のモヤモヤに囚われてしまっている。

　切り替えなきゃ――。

　そう思うけれど。

「明日、ドキドキするためにーっと」

　ギク、っとして通信機に耳を澄ませる。

「いい曲だよなー、三女ちゃんの新曲」

　リイヤに言われたくない。