薄明のハイドロレイダー

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　ショーコと会えて、本当にいい日だった。

　夕暮れの三叉路（さんさろ）で、名残り惜しげな時間が過ぎて行く。

　だけど、明日はトレーニングがある。

　ショーコも弓道の他に、家のラーメン屋の手伝いを始めたみたいで、忙しいみたい。

　だけど、いくら話しても話したいことがある。

　アタシは、急にとっておきのことを思い出した。

「ショーコ、花火やらない？」

　玲鷗（れおん）がくれた花火セット。

　忙しくて押入れに入れたままになっていた。

「やるやる」

　夕日が落ちていく。

　花火にはいい時間だと思う。

「いいの？」

「いーんじゃない？」

　生温い風の中で、クスクスとした笑い声が込み上げる。

　地下基地のアパートの前の空き地に、白いローソクが揺れる。

「みっちゃん、いいよ」

　押入れをガサゴソしてたら、いつの間にか大所帯になってしまった。

「明日も仕事なんだけどなぁ〜」

　なんて言ってるサブローの声も弾んでいた。

「なら、ご帰宅されたら？♤」

　雪子（せつこ）さんまで居るッ！けど、ショーコは気づいていない……

「ほっしぃ、点けよッ」

「わー☆ショーコちゃん私も入れてっ☆☆☆」

「もちろん〜」

「姉（あね）ッ早く早く！」

「ま、待てぃッ」

　ロウソクの炎に、そっと花火を近づける。

　パチ、バチチッ

　パチッ……——

　儚くて、星みたいな火花が、夏闇に瞬（またた）いた。