276

「え、何ここ……」


 洋館の地下室を抜けると、冷たい空気になっていく。


 コンクリートみたいなひんやりとした青い光の灰色の通路を抜けると……


 水中トンネルに繋がっていた。


 全方向美しいコバルトブルーに息が止まる。


 けどその先に……


「な、何あれ」


 湖は水深400メートル以上……


 ブルーの中を目を凝らすと透明な……


螺旋らせん……階段……?」


 緩やかな弧を描いて、恐らく湖底まで続くこの道は……


「まさか、ここを降りて行くの?」


「そうだ」


 制服の袖を無理やり捲って、玲鷗れおんが嬉しそうに屈伸している。


「……好きだな、組織は階段が」


 ジュンがやれやれとため息を吐いた。


「いやいや、好きとか嫌いとかじゃなくてさ、東京タワーより高いんだよ?……無理でしょ……」


「結局踏み台昇降が一番効率良く鍛えられるんだよ、ほっしー」


「いやいや!踏み台昇降とかいうレベルじゃないでしょ!あと諸説あるでしょ!!!」


「ざっと見て……4、50分というところか……」


 ってジュンも何やる気になってるの!?インドア仲間じゃなかったんかい!!!


「そう、ちなみに往路も復路も体育の単位になるという特典付きだ!」


「いや……」


「諦めろ、ほっしー」


「いや!」


「意外と熱いな、純之助じゅんのすけ。さ、食後の運動と行こう」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る