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 彼女は戯れだったに違いない。


 愛される要素が無い。


 それでも、その笑顔を糧にしていた。


「ドクター篠坂しのさか、全て調べ終わりました……あー!やっと終わった!!!」


「……素が出てるぞ」


「……アラ」


 咳払いをして、研究室ラボのIOPジオラマルームのicomアイコンを誰よりも迅速に繰り、三島みしま仁花にかはいくつものモニターを変わるがわる見つめた。


「このおかしな磁場……ここ数日で更におかしな流れになって来てるわ」


「そのためのブライトオブノアだ」


「IOP住人のもしもの場合の避難、隕石の迎撃、磁場の暴走の防壁、及び、最悪の場合、ホーリーチェリーの殲滅……水素動力による、夢の船ってところね」


「一課、二課、三課の技術の粋を合わせた惑星守護飛行艦だ」


「だからこそ!二課で作った副艦は母艦と同じ機能でなければね」


 ジオラマルームには、約1/10000スケールの大世界の人工島アイランドオブピースジオラマがある。高い山も、谷も、美しい都市も、全てがここにる。


「母艦とのドッキングは試乗も含めて、月面コロニーで行われる」


「ハイハイ、最年少艦長殿。心配してないわよ。実験は全て成功だもの」


 帰って来たら……。


 彼女の胸に光る水色のペンダントが、消えてはいないだろうか。


拓海たくみ、……いってらっしゃい」

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