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「ねぇ!ほっしーだよね!」


 マンハッタンの裏路地にひっそりとある校門の前の通路に、涼しい風が吹き抜けた。


 糸井いとい桃菜ももなの真っ直ぐな黒い瞳。


 どこかわくわくしてるみたいに、セーラー服のスカーフが風に揺れていた。


「な、なんでそれを?」


「私、宮本みやもっちゃんと同じ塾だったんだ」


 繋がった。


 糸井いとい桃菜ももながアタシをじっと見ていた理由。


「ろ、ロボちゃん?」


「うん!」


 黒髪ベリーショートの可愛らしいファイティングポーズでアタシは確信した。


 糸井いとい桃菜ももなはショーコの塾友、全国こども少林寺拳法の覇者、ロボちゃんだ!


 ショーコも弓道をやっていて、古来の武道を修めることを誇りとする繋がりで、仲良くなったそうだ。


 小柄ながら可愛らしく整った見た目、……からは計り知れない強さから、愛を込めて、ロボちゃんと呼ばれているのを本人も気に入っていて、自作のロボットのキャラクターまであるらしい。


 ショーコに新しい友だちなんて……と当時は焦ったけど、力強く明るく、少しキュートなロボちゃんに、いつか会いたいと思っていたのだ。


 それに、ショーコがアタシのことを話してくれていたのが嬉しい。


「ねぇ、誰?ミカ」


 幸子さちこがアタシの後ろで言った。


 風とプリズムが、裏路地をキュンと鮮やかにした。

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