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 アタシはいつも、後ろの教室から入る。


 前から入ると、視線を感じるからだ。


 教室の中の、輝かない石。


 だけどアタシ自身はそんな存在を好きだったり、時には嫌いだったりした。


 このドアを開けるのも最後。


 いつもはショーコとアタシ、どちらからともなく気にも留めず開けていたけど今日は、ショーコと二人、手を重ねてみる。


「開けよっか」


「うん」


 ドアの向こうから、いつもみたいにクラスの皆んなの笑い合う声が聞こえていた。


「「いっせーの」」


「「せっ」」


 パンパンパン——!!!


 破裂音に思わずのけ反り目を背ける。


「な、何!?」


 綾野あやの先生のサプライズ誕生日パーティーをやった時みたいな……クラッカー音。


 今日誰か誕生日だっけ……


「ぶへっ!!」


 キラキラの紙吹雪をぶつけられ、アタシは目をしばたたかせた。


 キラキラと雪が舞うような景色の向こうの黒板に——……


「「「「ほっしーありがとう☆☆♡」」」


 パンパンパンパン……!!!


 とどめのクラッカーがアタシに向けられた。


 ショーコを振り返る。


「私は何も。気づいてる人も結構いてさ……」


綾野あやの先生が、卒業までは触れないようにしようって。ほっしーが来にくくなっちゃったら、嫌じゃん?」


 クラスのアイドル的存在のマツが、アタシに何かを差し出した。

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