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 ドサドサドサ……!!!と、アタシたちは折り重なって倒れた。


「みっちゃん!」


 体が宙に浮き、トレーニングルームのカプセルに慌ただしく詰め込まれる。


「ミカ!」


 母の声……涙が溢れて来る。


「い……痛いよ……」


「みっちゃん!!!」


 ごぼごぼとオレンジの液体が……体に入って来る気が……した。


 ……知ってる。これ……TVで観た。最新のICU……カプセル。


「ほっしー!みんな無事だ!お前の友だちも!!」


 何か……そうだ、ジュンの声。


 無事……?ショーコ……幸子さちこ……。良かっ……。


「みっちゃん!!!!!!!!」





 ――……オレンジの、ペンダントライトが揺れてる。


(……風?)


 ……じゃない。


「止めて、そうちゃん。……痛っ!」


「みっちゃん……おはよ。夜だけど」


 輪ゴムピストルをペンダントライトに当てる悪戯いたずらを止めようとして、全身に痛みが走る。


「起こそうか?かえで、みっちゃん起きるってさ」


 アタシの腕にあごを乗せていたかえでがぺろりと手を舐めた。


 体を起こされて隣を見ると、シュウジがぐうぐうとイビキをかいている。


「上のお姉ちゃん、桃缶買いに行ったよ。動ける?」


 思うように動けない。


「……火傷と、傷と……綺麗に治ってる……けど、筋肉痛は治らないんだってさ、あのカプセル。ははっ」

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