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「ありがとう……!」


HyLAハイラ-Eighthエイスの地下基地で、エリカさんに握られた手が、暖かかった。


 ロンドンはエリカさんの生まれた地だそうだ。


 助けて欲しいっていうエリカさんの心の声を、キャッチできたことが嬉しかった。


 マーガレットさんは、チベットで生まれたから、祖国はLand ofランドオブ ユーラシア。


 ロンドンの歴史と文化にはマーガレットさんも誇りを持っていて、Eighthエイス参加が決まった時は嬉しかったそうだ。


「まだ乗れなくて、悔しいよ……ありがとう」


 エリカさんも、マーガレットさんも、まだ搭乗研修オリエンテーションを受けていなかったし、二人のレイダーは制作途中だ。


 それでも、HyLAハイラ-Firstファーストのニュースを見て、アタシたちとはやく話してみたいと思ってくれたと知って、嬉しかった。


「だ、大丈夫ですよ!ホラアタシなんて、最初は後ろ向きだったっていうか……むしろ毎日なんでこんなことに、とか思ってましたし……むしろお二人は偉いっていうか……」


「ミーカ!!!」


「ぐえっ」


 ハグ……っていうか、幸子さちこの絞め技がキマッて、アタシはむせた。


「ちょっ!何す……」


「ありがとー☆って言われたら、受け取ればいーの!ほんとの気持ちだもん☆」


 幸子さちこが握手を返すと、二人とも嬉しそうに笑った。

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