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 トレーニングルームには既にみんな居た。


 幸子さちこに手招きされて、隣に椅子を出現させて座る。


 ふかふかの、ちょっといい椅子にした。


 いい感じに沈み込んで、収まりが良かった。


「えー……みんな、集まってくれてありがとう」


 久しぶりのサブローのミーティング。


 なんかサブローをみんなで囲む感じが落ちつくっていうか、……まぁとにかく、良かった。サブローの目が覚めて。


「サブローさんおかえり!」

「サブロっち、もう具合はいいのかい?」


「ありがとう、もう大丈夫です。ですが、通達した通り、例のディストレスについて、改めて説明をしたいと思う」


 サブローは、HyLAハイラからの通達やそうちゃんからの説明をシミュレーション映像を使ってまとめた。


「つまり、現状では搭乗者パイロットへの危険可能性はゼロに近いので安心してもらいたい。でも気をつけるに越したことはないので、HyLAハイラ観測チーム、メカニックチーム、気象庁と連携して、警戒を怠らないようにしよう」


「「「ハイ!!!」」」


 あっ、アタシ、返事しそびれた……


「……わかりました」


 小さく頷く。


 大丈夫といい切れない状況で戦いに臨むのは凄く怖い。


 でも、限りある力を、出来ることに尽くしたり、協力してくれる力に感謝すること。


 それって悪くない気がした。

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