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「バレてしまっては仕方がないから言うけど、兄はもう少し起きてるよ。……通信が遮断されている原因と、あいつの特性を調べるためにね」


「……もう、わかってるんじゃないの?天才高校生」


「ははっ!結局行ってないけどね。……安心してみっちゃん。HyLAハイラでは亜空間コックピット内の組成を常に把握していて、有機分子のパーセンテージは全く変わってないから、サブローさんに損傷はないと思う。中でどんなふうに動けているのかがまだわかっていないけどね。通信が出来ないだけで、ちゃんと生きてるんじゃないかな。……シュウジは寝たんだろ?妹も寝なサイ」


 ぽん、と頭に置かれた手をアタシは信じることにした。


「おにぎり、食べなよね」


「うん、ありがと」


 そうちゃんに背を向けてアパートのドアを閉めると、カモミールの香りがパタンと終わって、しんとした夜の空気が入り込んできた。


 スチール風の階段をカン、カン……と上がって、外廊下から夜の空き地を眺める。


 ここで、サブローのパーティーをしたのが、遠い昔のように思った。


 静かに部屋に戻ると、シュウジと母がすでに寝息を立てていた。


 カーディガンを脱いで、冷たい布団に潜り込んで、雲の化身ディストレスの閃光を反芻はんすうする。


 恐い――けど、アタシたちは絶対に負けない。











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