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 ホログラムモバイルが真っ白に光った。


 それは毎年、仁花にかが見たがった、雪のように。


 水色のネックレスが、涙のように見えた。



 ……その日、大世界の人工島アイランドオブピースは跡形も無く、消えた。



 18から6年間着続けているジャケットの胸ポケットには今、水色のしおりがある。


 目の前には、俺たちが作ったハイドロレイダーが、窮地に立たされているのが見える。


 ……やっとこの日が来た。



 歴史を、繋がりを、思いを……自分の手で掬う日が……



「どんなに離れていても」


 未来はわからない。


「俺はひとりじゃない」


 強大な敵に、いつか、負けてしまうかもしれない。


 でも最後まで!!!


「全部が……未来の糧だ!!!」


 ……思い出せ!!!幸せを!希望を!!!!!!


「スターライク…………」


(青い……)


「ダイヤモンドォ!!!!!!!」


(レイダー…………?)


「フリーーーーーーーーーーーーズ!!!!!!!!!!」



(サブロー!?)


「サブローさん!!!!!」


「すまないシュウジ君!2、3頭凍らせそびれてしまったっ!」


「大丈夫です!実華みか!!!!!」


「えぇ!?うん!」


「「バーキング」」


「「アローーーーーー!!!!!!」」



 エリア新宿を凍らせた氷が、砕け散っていく。


 それは降らない筈の町に降る、雪のように見えた。




 


 

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