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 サブローの気持ちが嬉しかった。


 幸せは自分で決めたい。


 けれど、純粋に願ってもらう幸せは、希望のひとつになる。



「二人が俺の二十歳を見届けてくれたように、見送らせてよ」



 いい未来を。


 自分が幸せだと思う未来をみつけてほしい。


「……そうだね。……なんか、アタシも酔ってるのかもしれない。あっは、ちょっと風に当たってくるわ!」


 アタシはすでに畳に横たわっているハジメを乗り越えて、外に出た。


 カン、カン、カン……とスチール風の階段を降りて、空を見上げる。


 エリア新宿・セクション新大久保によくあるこの木造風アパートで暮らすのも、あと一週間。


 星は見えないけど、うすグレーの空がアタシにはいつも、優しく暖かく思えた。



 ……寂しい。



 でも終わりじゃない。



「綺麗……」


 サブローのくれた水色のネックレスは、街灯の灯りを浴びて、キラキラと光った。



 頑張れる。


 ……頑張れない日もあるかもしれないけど、思い出す。


 アタシが頑張ったこと、これからやりたいこと。



 そして来年のクリスマスには、帰って来るんだ。


 彼氏……がもしいたら、ハジメともサブローとも仲良くなってくれると思う。



 アタシは12月の空気を吸い込んだ。


 しんしんと、静かな夜。


 ……綺麗な雪が、降って来そうな気がした。

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